
500のエンジンは新型3,500ccターボ
僕は自動車を売る側の人間ですので、「LS600h」と「LS600」のどちらにしようか迷うことなどないわけですが、実際、ご購入される方は大変に悩まれると思います。
それほど、甲乙つけがたい商品を二つ用意したな、と唸らされるばかりです。
スポンサーリンク
本体価格は「LS500」のほうが「LS500h」よりも140万円ほどお安い設定とはいえ、新車購入の際、ハイブリッド車は免税があります。
そして、ちょうど100万円差に落ち着きます。
実燃費は、
「LS500h」12km/L~13km/L。
「LS500」 7km/L~8km/L。
両車ともにハイオク指定。
年間10,000km乗ったとしても、約10万円の差。
いちおう10年でハイブリッドの「LS500h」が追いつく計算です。
しかし、ハイブリッドバッテリーの消耗を考慮すると、結局、「LS500」のほうが得ではないか?とも思います。
まあ、こういうお話は売る側の金銭感覚のようで、実際、ご購入なさる方々は全く気になさらないようです。
ご購入された方からいただいた質問を一部、ご紹介しましょう。
1.『静粛性はどちらが高いですか?』
2.『V8「LS460」からの乗り換えを検討しているのですが、どちらのほうがオススメですか?』
3.『みなさん、どちらを選ばれていますか?』
という感じです。
富豪の方々も、みなさんがどちらを選ばれているのか気になるようです。
ご回答は
1.『ガソリンモデルの「LS500」です』
(高速道路巡行時以外)
2.『ガソリンモデルの「LS500」です』
(迷う余地はありません)
3.『ガソリンモデルの「LS500h」です』
(8:2です)
乗れば「LS500」に魅力を感じるが、法人ユースでノンハイブリッドはちょっと顔が立たない…。そんな方がほとんどです。
「LS500h」の試乗記は>>>こちら
ちなみに「LS500」の静粛性は先代「LS460」はもちろん、先代ハイブリッドの「LS600h」をも超えています。
「LS460」より「LS500」は200kgも重量が増加していることを考えると当たり前かもしれません。
それだけ遮音材を使えるわけですから。
この原理で、静粛性を高めているのがBMW「ロールスロイス」でしょう。
そして大排気量エンジンを積んで巨体を物ともせず引っ張ります。
しかし「ロールスロイス」は夢の車ではありません。
さすがに左右の動きは鈍重な上、運転していて自車の状況が掴みにくいことこの上ないです。
自動車評論家で、ここに触れる方はいないのが不思議です。
ただ「LS500」は違います。
車幅が1,900mm、全長5,235mmなど嘘のようにコントロールできます。
たしかに絶対値が高い以上、狭い駐車場では止めにくいです。
隣の車に迷惑でしょうし、隣の車が接触してしまう確率も高くなるでしょう。
それは欧州メーカーのFセグメントも同条件。
とにかく「LS500」は運転していて、楽しいのです。
路面の感覚は正確に伝わってくるのに不快感はなく、静かに走りたいときは静かに、アクセルを踏み込んで豪快に加速したいときはターボエンジンの咆哮を聞くことができます。
「セルシオ」や5代目「マジェスタ」、「LS460」から続いたV8エンジンの‛とろけるような’エンジン音を聞けなくなった寂しさはありますが、新エンジン3,500ccのツインターボは、旧V8を継ぐ資格のあるエンジンだと断言できます。
エンジン音はハイブリッド車で聞く音質と違いわずかな‛こもり音’もなく、クリアです。
V8時代と比べると半オクターブほども低いでしょうか。
しかし、魅力では負けていません。
ドロドロした重々しいものではなく、吹き上がりが軽快すぎるわけでもなく。
ターボラグ?は?みたいな。
ドライバーのイメージした通りの回転数を瞬時に再現してくれるのでしょう。
スポーツモードにせずとも、なにかドライバーの意思でも感じ取っているのではないか?と勘違いするほど察しが良いのが、この「LS500」。
もはや生命的ですらあります。
完璧という一つの形が「LS500」なのかも知れません。
本当の意味で新しい「セルシオ」と呼ぶにふさわしい出来だからこそ、欧州車に対して燃費のアドバンテージがなくても、20%の方たちは「LS500」を選ばれるのではないでしょうか?
ステアリングフィールは昨今のレクサスやメルセデスは入力に対する反応がややもすると電子的で個人的には好きになれないのですが、「LS500」は‛しっとり’とした感触で返ってきます。
かといって懐古的な感覚でもないのが、すばらしい…。
無駄もなければ、オーバーステアの神経質さもない、という。
これはFセグメント随一のステアリングフィールではないでしょうか?
次ページは>>>
「値引きがダメなら、あれを貰おう」