何者もライバルとしない姿勢
2017年-現行の「LS」は自動車評論家から概ね、良い評価を貰っていると思います。
これまで、欧州の高級車に対抗する国産車は悉く、
『まだまだ走りの面では追いついていない』
と、けなされてきました。
それは、おそらく欧州メーカー、特にメルセデスとBMWを凌駕せんとする意気込みで作られていたからではないでしょうか?
たとえ追いつき、追い抜いたとしても同じ土俵であるなら、人は古くから君臨している‛ブランド’を信仰する傾向があります。
自動車メーカーの場合、それがドイツメーカーであるなら、なおさら。
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5代目「LS」は初代(日本では初代「セルシオ」)のときの、日本の感覚を研ぎ澄ました自動車を作ろうという気持ちが伝わってくる商品です。
とくに内装の仕立ては、レクサス「LC」と同じく❛日本❜を主張する箇所が複数あります。
竹や日本矢をイメージしたであろう、各パネルやドアトリムのデザイン。
後部座席でのライトは床下から射してくるようなセッティング。
これは‛行燈’をモチーフにしたのだとか。
縫製が他メーカーの高級車よりもさらに細かかったり、センターコンソールパネルは高級グランドピアノと同等レベルにまで磨かれていたり、本当の意味での高級を追求しています。
運転席・助手席のクッションサイドアウェイ機能などはどうでしょうか?
座面のサイドの盛り上がった部分が乗降の際は、すっと平らになります。
その所作も実に自然で嫌味がありません。
乗員に意識させない‛おもてなし’を提供するのは国産車ならでは。
内装質感は、BMW「7シリーズ」のインディヴィデュアルも凌ぎますし、メルセデス「Sクラス」よりも上でしょう。
そして、仕立てという意味では「Sクラス」マイバッハを超えていると思います。
日本の職人技というのは一体、どれだけすごいのか思い知らされる代表的な車が、この「LS」そして同じレクサス「LC」、トヨタ「センチュリー」です。
ちなみに乗降の際、ボディが3cm上がるのですが、これに要する4秒間がまたスムースすぎて笑ってしまうほど。
クロスカントリーの最高級モデルレクサス「LX」の乗降システム(「LX」は乗降の際、下がります)よりさらにスムースな気がします。
後席の‛寛ぎ’の概念すら刷新
このクラスの商品は、長年、後席の広さ、レッグスペースやヘッドクリアランス、そして、シートのゆとりを持たせることに各社、しのぎを削ってきました。
しかし、「LS」はヘッドクリアランスは最大限にまで配慮されていません。
TNGAボディのため、低重心ですので見た目ほどの圧迫感はありませんが、比べるならトヨタ「セルシオ」時代のほうがゆとりはあったでしょう。
どうやら開発コンセプト自体が後席にゆとりを持たせることではなかったようです。
実現されているのは、ほどよい包まれ感のある後席。
後席で集中してノートパソコンに向かう、あるいは疲れを取るためにマッサージ機能をオンにする…。
最高のプライベート空間の提供こそ「LS」の目指したものなのだと思います。
畳の世界観でしょうか。
欧州車の提案とは一風違った切込みであることは確かです。
そう。
縦方向に関してはホイールベース3,125㎜を生かしたレッグスペースがあるのです。
エグゼクティブ仕様では助手席を畳むことができるので、大型ミニバントヨタ「アルファード」にも迫る足元です。
断っておきたいのは、後席同士で会話をするような利用なら断然、「センチュリー」だということ。
すこし体を傾けて会話をしながら…という状況すら想定ずみのシートなのでしょう。サイドサポート力は「センチュリー」には‛ほとんど′ありません。
後席で会話をしながら、なら「センチュリー」。
お一人で寛ぐのなら「LS」。
これで間違いないと思います。
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「先代、600hよりも遅いが…」