「クラウンアスリート 」14代目 2リッターターボ Jフロンティア 210系 2015年-2018年

10年以上の時を経てターボ復活

現行モデルとして発売されていた頃、僕は以下のようなことを書きました。

トヨタの公式ページで2,000ccターボモデルと、マイナーチェンジ前の2,500ccモデルをスピード対決させて、2,000ccターボが2,500ccを圧倒するという動画がUPされています。

過去の自社モデルを否定するのは個人的に好きではないのですが、確かに2,000ccターボはクラウンアスリートに新たな風を吹きこんだといえそうです。

同時に‘もはや’クラウンと呼べるのか?というほど、かつての「クラウン」らしさが無いモデルでもあります。

 

 



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「アクセル踏んでくれよ」と、言わんばかりの設定です。
エンジン音は容赦なく車内に入ってきます。

「クラウンは静粛性が命なんて誰が言った?」とロイヤルに一線を画すこの2,000ccターボ。

トヨタ、まあ、何とも冒険したものです。

その聞かせるエンジン音、ハイブリッドの直列4気筒とはまた、違う躍動感があります。

どの回転域でも不安定さを感じさせないのは、さすがはトヨタ。
欧州車もダウンサイジングターボとして4気筒を積んでいる車が多いですが、それらと較べてもよく回るエンジンです。

環境対策として3,500ccにはないアイドリングストップ装置も備わっていました。

欲を言えば、やはりもう少しパワーなりトルクなりは欲しいかな、と思う瞬間があります。
よほど、アクセルを踏んだときですが・・・。

以上、現行モデル時代の記事です。

売った側としては、販売の落ち込みかけた14代目「クラウン」の救世主でしたから、好印象でした。

ただ、どうしても15代目「クラウン」ターボに乗ってしまうと悪い箇所が見えてしまいます。

思えば、170系「クラウン」アスリートに2,500ccターボの設定があったのが2003年まで。

10年以上の時を経て、満を持してのターボ投入。実際、レクサスの「NX」や「IS」に搭載された後ですから、煮詰める時間はあったはずです。

しかし、やはり、2003年に登場した「ゼロクラウン」譲りのシャーシでは2015年のエンジンを完璧にコントロールするのが難しかった部分があったのかも知れません。

15代目に乗った直後に乗り比べると、コーナーでテールが流れる感覚は日常走行速度域でもわずかに感じ取れます。

15代目のシートポジションに慣れてしまうと、やや腰高なのもスポーツ気分をスポイルさせられます。

TNGAボディを纏った15代目「クラウン」は全てのモデルがアスリート系として素晴らしい出来なので、どうしても14代目は見劣りしてしまいます。

サスペンションの固さにボディ剛性が付いていかず・・・という印象も無きしもあらずです。

では、すべてが劣っているのでしょうか?

いいえ。
自動車は走りだけがすべてではありません。

たとえば‘イナズマグリル’と呼ばれた個性的なグリルがお好きな方には、もう、これ以外ないでしょう。

後部座席を考慮するなら「クラウン」ロイヤルのほうを選ぶべきですが、15代目「クラウン」と比べると背もたれが‘やや’寝ているので後部座席の快適性は優っているように思います(公式数値はありません)。

寛ぎやすさは、14代目がが若干、上かな、と。

ネガティブな要素もあります。
後部座席のレッグスペースです。
ホイールベースが14代目2,850mmから15代目は2,920mmと7cmも伸びたのだから仕方ありません・・・。

前席のシートを一番後ろまで下げられると14代目は少々、厳しいのに対して15代目はまだ‘こぶし’一つぶん以上、余裕があります。

逆に一番後ろまで下げないのであれば、14代目でもレッグスペースに問題はないでしょう。

あと、中古車ですから当然ながら価格も魅力的です。

特に2016年8月29日にはビッグマイナーチェンジを受け、<トヨタセーフティセンスP>を全車標準搭載。大変、お薦めです。

15代目発売直後はこれに夜間歩行者検知と昼間自転車検知が付いたものですので、充分、比較に耐えうる衝突軽減ブレーキです。

JC08モードではわずかに15代目を上回ります。
15代目は車重が影響したのでしょう。

14代目13.4km/L⇒15代目12.8km/L。

ただし、実燃費にさほどの差はなく、一般道、10km/Lはいきません。
高速走行燃費はカタログ値を10%上回ることもあります。
両者ともハイオクです。

繰り返しになりますが、やはり、何といっても恰好ですね。
外観がお好きな方は是非。
もともと、‘やんちゃ’な雰囲気がございますので、ローダウンがお好きな方からの依頼も多いです。

次ページは>>>
「最終特別仕様車について」です。

新型「クラウン/3.5 G executive」15代目/220系/2018年-現行

事実上のマジェスタ後継モデル

マジェスタは1991年に140系クラウンの上級車種として登場してから、27年間、販売台数の面でトヨタに貢献してきたとは到底言えませんでした。

その、マジェスタは2018年3月を以って終了し、15代目「クラウン」のG-エグゼクティブにその後継を担わせるようです。

マジェスタだけに搭載されていた3,500cc V6エンジンをG-エグゼクティブに搭載することが一つの証明です。

事実、トヨタ広報さんも「G-エグゼクティブは先代までマジェスタに乗ってこられた方に対応して作られている」とおっしゃっています。

もう、マジェスタが復活することは、ないでしょう。

 



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実際、他グレードと比較して、これだけの仕様が追加、変更されています。

・リアガラスの高厚板化
・後席シート及びラゲッジ周辺への吸音材の最適化
・リヤホイールハウスへの吸音材の追加
・ノイズリダクションアルミホイールの採用

※ノイズリダクションアルミホイールとは?
ロードノイズと言われる雑音の主たる原因は、タイヤ気柱共鳴音と言われています。
ボールを弾ませたときに‘キーン’とか‘バーン’とか響きますよね?あれと同じ理屈でタイヤが地面を転がると共鳴音が発生します。
その不快音を低減させるホイール。
ホイールの外周(タイヤを履くと見えなくなる部分です)に360度、ハニカム構造の空洞を設け、空気の出入りが可能な空間を作り、共鳴音を低減するそうです。
じつは、この<中空レゾネーター>という構造は2010年にホンダ「レジェンド」でも採用されていました。

それ以外にも内装にシルバー加飾が施されたりして、さりげなく高級感は上がっています。

価格は
2.5L(4WD)が税込6,323,400円
3.5L(2WD)が税込7,187,400円

4WDモデルに2,500ccしかない理由は、3,500ccV6エンジンと4WDシステムが同時にエンジンルームに納まらなかったからです。

先代「マジェスタ」も、同じ理由で4WDモデルには2,500ccしか用意されませんでした。

おのずとG-エグゼクティブの売れ筋は2WD、3,500ccということになります。

少々、余談気味になりますが、先々代では4WDにはレクサス「LS」と共通の新エンジン4,600ccV8が積めず、「セルシオ」で使われていた4,300ccV8代用していました。

4WDモデルは‘買い’なのか?

15代目「クラウン」のカタログには2ページも費やして、今回の4WDモデルは違うんだ、コーナリングが違うんだ、と力説がありますが、正直、ドライ路面で乗っている限り分かる方は非常に少ないでしょう。

アウディなどはFF(前輪駆動)とクワトロ(4WD)とが同モデルに存在していたりするので、乗ると結構、分かるのですが「クラウン」は代々FR(後輪駆動)。

しかも、この4WDモデルは通常、前後輪比40:60ですので、ややFRのような感覚。
余計に2WDとの違いが分かりません。

急なコーナリング時は50:50。

アクセルを踏み込んだときは30:70に瞬時に変更するなどコンピュータが巧みにコントロールしてくれるそうですが、それこそニュルブルクリンクでも本気で走れる人が体感できるレベルではないでしょうか?

もちろん、ウェット路面、さらには雪道を走る方には4輪駆動は心強いです。

ただ、東京都内、大阪府内に住む方が安定性向上を期待して4WDを選択することはないと思います。

通常グレードの最小回転半径が5.3mに対して、2WD 3,500ccモデルが5.5m。

4WD 2,500ccモデルは5.7mだというのは都内では実感してしまいます・・・。

 



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マジェスタから買い替えてはいけない

14代目「クラウン」と並行して販売されていた210系「クラウンマジェスタ」は200系「クラウンマジェスタ」のドライバーズカー志向から逆行したような、後席重視の乗り心地の良い車でした。

2009年~の「200系マジェスタ」が発売されたときに開発者の方が「マジェスタは7割以上がオーナーさんがハンドルを握るというデータがありますので、これからはマジェスタも走って楽しいと思える車になっていきますよ!」なんて言ったくせに、2013年~の210系では、なかなかどうして素晴らしいVIPカーに仕立てたのでしょう。

4人乗り仕様がなかったのは残念にしても、210系「クラウンマジェスタ」は後席を重視する方には2018年時点、候補に入れてほしい車です。

210系マジェスタは、2016年8月29日には<トヨタセーフティセンスP>が全車標準装備されているので、狙うなら平成28年9月登録車~平成30年5月登録車をお薦めします。

さて、15代目「クラウン」に統合されたに等しい7代目マジェスタ、別名、G-エグゼクティブ、と申し上げたいところですが、乗ってみて驚きました。

次ページは>>>
「最上級モデルはドライバー最優先仕様だった!?」です。

「Cクラス C220d」4代目 W205 2014年-現行

革命的な変貌

登場したのは2014年。

キャッチコピーは 『メルセデスの本気』。

当時、サッカー日本代表の本田圭佑選手を起用したのもトピックでした。

煙の中から登場する「C-class」と、それと対峙するように、じっと迎える本田選手。

高級感と、挑戦的な雰囲気が出ていて印象的なCMでした。

じつは本田選手、この直後にトヨタ「オーリス」がハイブリッド導入した折のCMにも出演していました。
同時に放映されていたわけではないのでOKということなのでしょうが・・・。

俳優の渡辺謙さんが日産「スカイライン」に起用された数年後に、スズキのコマーシャルに出ていたのも妙な感じでした。

渡辺謙、当時はわりと良いイメージがあった俳優さんでしたね。

 



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このW205「Cクラス」、はっきりとW213「Eクラス」よりも優れている、と裁定した自動車評論家も多くいらしたので、果たしてどうなのか、期待は膨らむばかりでした。

が。弊社がなかなか買い取らせていただけない・・・(欧州車は新車で入荷した試しなし)。

まあ、ウチは国産がメインなので買い取ってもオークションに流すケースもあり、高値が付けられなかったのもあります。

期待が大きくなる理由はもう一つありました。

それは先代にあたる3代目W204「Cクラス」の後期のレベルが非常に高かったことです。

2007年に発売された当初、Dセグメントでは頭一つ抜けているのではないか、と思うほど安定感のある走りを提供していました。

それが2011年に何と2,000箇所に及ぶ改良を経て、マイナーチェンジ。

どこがどう変わったのか、というよりも、さらに一つ上のレベルに引き上げられた感のあるMCでした。

個人的には満点を付けても良い仕上がりに感じましたが、BMW「3シリーズ」好きの整備士によれば、
『ハンドリングがまだまだ』
とのこと。

シビアな切れ味こそが‘良い’という価値観もあるので、そこは否定しません。

しかし、日常走行時においての直進安定性はもちろん、ハンドルの応答性までメルセデスに高められたのでは、他の欧州メーカー、特に似たベクトル上に存在するアウディは3代目W204「Cクラス」に焦ったのではないでしょうか?

メルセデスベンツ独特の‘しっとり感’に加え、この頃から標榜する<アジリティ=機敏さ、敏捷さ>を見事に体現していたのは見事でした。

W204よりW205は優れているのか?

さきほど、価値観と申し上げたとおり、僕はW204に満点を付けた人間なので、それをアップデートする方向ではなく、変化を求めたフルモデルチェンジ、四代目の「C」W205に対してさほど高評価はできないだろうな、とは思っていました。

エクステリアがW222「Sクラス」の近似値に纏めてきたことから何か相容れないものもありましたし・・・。

「Sクラス」と勘違いされると素晴らしいわけでもないでしょうに。

あと、ドアの開閉音が軽くなったことも少なからずショックでした。
これはアルミ製になったことによる変化ですが、あの‘ド’と重い音と共に乗り込むと、

『ああ、これが欧州メルセデスだ』

と、優越感を覚えてしまうタチでしたので、どうしても盛り上がりません。

しかし、インテリアのさらなる質感の向上は間違いなく、ご購入検討中の方々の心に響くのではないでしょうか?

W204の内装が安物っぽいとまでは言いませんが、国産車で同価格帯の商品と比較すると劣っていたのは否めなかったので、これは嬉しい変貌です。
走りもまたW204とは別物です。

次ページは>>>
「走りでCクラスは3シリーズに勝てるのか?」です。

「クラウンマジェスタ」5代目 S200系 2009-2013年

「セルシオ」の後継は「LS」ではない

「セルシオ」の後継といえば、レクサス「LS」だとお思いの方が多いのではないでしょうか?

海外では「セルシオ」は長らく「LS」として販売されていたのは事実です。

しかし「LS460」(4代目 2006年-2017年)に乗ってみれば思うのは

『これは、違う』

誤解なきよう先に申し上げますが、「LS460」は素晴らしい車です。
1,875mmという車幅は、国内では難はあるものの、海外では特に気にするほどの数値でもなかったでしょう。

 



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2006年は、立体駐車場(横幅1,850mm制限が多い)をご利用していた3代目「セルシオ」(車幅1,830mm)のオーナー様にとって「LS」(車幅1,875mm)への買い替えが難しかったため、「セルシオ」の質の良い中古車が高値をキープしていました。

僕たちは横浜に「セルシオ」ばかり入札しに行ったものです。

5代目「マジェスタ」こそ

180系4代目「マジェスタ」も価格相応の商品ではありました。

しかし、「セルシオ」より小ぶりなボディでは「セルシオ」以上を実現するのはなかなか難しかったようです。

もっとも、4代目「マジェスタ」が発売された2004年当時はまだモデル末期の3代目「セルシオ」が販売されていましたから、機能面などで上回るわけにいかず、制約が多かったと聞きます。

それに対して、この5代目「マジェスタ」は2006年に消えた「セルシオ」に遠慮する必要はありませんでした。

車幅1,810mm、全長4,995mmとボディサイズは拡大し、価格もCタイプで、6,950,000円。

同じCタイプで比較すると、4代目登場時は6,090,000円でしたから、相当な値上がりを敢行したと言えます。

それもそのはず、実際、乗ってみると、この5代目は4代目と較べて、一つ格上の車種だということが誰しも分かると思います。

エンジンは2006年に「LS460」に採用された4,600cc V8エンジン。

「LS460」は「LS600h」というラグジュアリーに特化した商品がレクサスに存在していたため、実はかなりスポーティ寄りでした。

それが、「セルシオ」後継ではないと感じる最大の点です。

エンジン音は、やや低く設定されており、アメリカンスポーツを思わせる雰囲気すらあります。

新型「セルシオ」と呼べる仕上がり

相当、スポーティ寄りな「LS460」と違い、ゆったりと乗れる商品を目指して開発されたのが、この5代目「マジェスタ」です。

たしかに30系「セルシオ」に似てはいますが、ステアリングは‘しっかりした感触’を得、切り始めの遊びも少なくなっていることで運転のし易さが増しています。

また、急ハンドルを切ったときにリアが流れる感覚が消えていることから明らかにボディ剛性が上がっているのが分かります。

4代目「セルシオ」と呼んでも誰もが納得する商品でした。

そして、静けさ。

「セルシオ」といえば、静粛性の高さではライバルを凌駕していました。
5代目「マジェスタ」は、これに磨きをかけています。

この「マジェスタ」は、静けさに加えてエンジンの吹き上がりが‘さらに’滑らかになっているのが特徴です。

ATが8速に進化したこともあるでしょう。
30系「セルシオ」は前期は5速AT、マイナーチェンジされた後期でも、6速ATでした。

8速の「マジェスタ」は、特に低速のシフトチェンジが恐ろしくスムースなので、大排気量エンジンにありがちな低速でのトルク不足を全く感じさせないまま加速していきます。

日常域である40km/h~60km/hは基本、無音。

風切り音も、コントロールされており、やたらと静かな車内です。

ロードノイズが、わずかに入ってくるばかりというレベルに仕上がっています。

これだけの静粛性を得るために2008年に発売されていた、200系「クラウン」から、さらに吸音材を見直しています。

わずかにでも空洞ができた箇所には発砲素材で空気振動を抑える配慮も為されています。

リアガラスは「クラウン」の、3.5mmから4mmへ、サイドガラスは4mmから5mmへ変更。

ドアトリムの吸音材に至っては6mmから10mmと、実に4mmも厚くなっていることには驚きました。

その他、全グレード標準装備のエアサスの空気量を増加させつつ乗り心地に芯を持たせる技術など、静粛性に対する創意工夫は枚挙に暇がありません。

 

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Aタイプ‘Lパッケージ’とは?

この「クラウンマジェスタ」にはAタイプという少々、変わったグレードが存在していました。

いわゆるベースグレードに該当するのですが、そのAタイプの‘Lパッケージ’にしか装備されていないシステムがあったのです。

それは<アクティブステアリング統合制御>

ハンドリングが少々、過敏になるので、この商品をお買い求めになるような方々に好評を博したとは思えませんが、面白い試みでした。

また、Aタイプ‘Lパッケージ’には特製のボルドーの本革シートが奢られます。
他グレードでは選べない上、艶のある色合いだったので魅力的に映りました。

その代わり、オプションでもリアエアコンやリアプリクラッシュセーフティなどの後部座席に対する装備は選択できないという・・・。

フロントドア・リアドアのイージークローザーすらオプション選択できませんでした。

そのくせ、標準でサンルーフが付いてくるのは、ちょっと意味不明でした。

次ページは>>>
「当たり前ですが欠点は燃費。
しかし、走りは、珠玉」

「GS-F」L10型/10系 2015年-現行

別物

※「GS」にそっくりですが、マニア向けですので、ご注意ください。

外観から分かる違いは少々、ローダウンされた車体とマフラー、大型ホイールなど「GS-F」を知らない人からすれば特に注目されない差異ばかりです。

「IS-F」は実物を間近で見ると、フェンダーの膨らみがノーマル「IS」と明らかに違っていたものですが、「GS-F」はそれほど感じません。

しかし、乗り込んでみると、硬そうなバケットシートがお出迎え。
これが案外、硬すぎず街乗りでも違和感のない仕立てです。

地味に“ブラック×ブラック”にコーディネートもいいですが、せっかくの‘F’ですから、“ブラック×オレンジ”などはいかがでしょうか?
 



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さすがに、車に詳しくない彼女でも「レーシングカーみたい」と言ってくれるかもしれません。

ただ、どうやら女性という人たちはスポーツカーに興味がないので、彼女受けを狙うには全く不向きな商品です。

あの「フェラーリ」ですら、最初は「へー、凄いぃ」と感動したふりをするものの、乗り降りのしにくさに辟易して文句を言われることすらあるものです。

「フェラーリ」は富豪確定だと誰もが知っているので、何とか媚びてくれる可能性も残されていますが、「GS-F」の知名度は限りなくゼロに近いでしょう・・・。

そんなわけで本当に車好き、かつサーキット走行もお好きな方でないと、間違いなく買って後悔する商品のご紹介です。

猛獣系であることはすぐ分かる

エンジンスタートボタンを押すと、『ブオォォン!』と爆音と共に目を覚ますV8エンジン。
他の「GS」と比較すると、『おおっ・・・』とこちらが引いてしまうような音量です。

まあ、それでも「ランボルギーニ」「フェラーリ」に較べると近所迷惑まではいかないかな、という可愛いレベル。

先ほどご紹介したバケットシートに乗り込むと、
『バケットシート風なんだ』
と、妙に感心。

人間工学に基づいてシートを作ると、このバケット風に落ち着くのでないか?と、議論したくなるほど運転しやすいです。

左右のサポートを強力、かつ自然に行なえるのは、バケットシートの魅力でしょう。
この「GS-F」のシートはバケット状でありながら、背もたれと座面が分割されているのです。
8ウェイという細かくポジション設定できる機能が、また憎い。

デメリットは腰を落ち着かせて座らないといけないので、見下ろして運転するSUVやミニバンには不向きであることでしょうか。
逆にスポーツセダンには運転席だけOP設定できる車種があっても面白いかも知れません。

さて、アクセルを踏んでみます。

相変わらずの爆音は奏でているのでしょうが、遮音性がやたらと行き届いているせいで『あ?対向車線にそんな車が?そうか。自分か』と“ノリツッコミ”ができるほど。

かなり、オブラートに包まれたV8サウンドが聞こえてはきます。

ただ、その音質は、いかにもレーシングカーの‘それ’。
実に心地良いものです。

これには少々のトリックがあります。
<アクティブサウンドコントロール>によりサウンドチューニングされたエンジン音と排気音が前後のスピーカー(RC-Fはフロントのみ)から流れてきているのです。

プレミアムブランドではBMWがやり始めた手法で、最初はチューニングされた音をスピーカーで聞くなんて・・・という否定的な声も聞かれたものです。

しかし、実際のエンジン音も併せて聞いているわけです。

サーキットを走る上で、エンジン回転数をエンジン回転数を把握しやすいシステムですし、何より気持ち良い・・・。
それだけでも、必要な装備といえるのではないでしょうか。

この「GS-F」のV8 5,000ccは、4,500回転あたりから、やや高い音質になります。

官能的でついつい踏み込んでしまうのですが、時速100キロ以上出せない公道では、その音を聞くことはありません。

 



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サーキット専用といっても過言ではない

メルセデスの“AMG”やBMWの“M”がそうであるように、レクサス「GS-F」もサーキット用に仕立て上げたスポーツサルーンです。

サーキットでの素晴らしさは言わずもがな、日本車を酷評するジャーナリストにも概ね好評でした。

<スポーツS+モード>での走行は、サーキットの常連でなくても楽しめる設定。
直進安定性は2007年に登場した「IS-F」を相当に上回ります。

もちろん、車体の大きさも影響しているでしょうが、ボディ剛性のレベルが非常に高いので、時速200km出しても結構、余裕に感じられます。
『運転うまくなったのか?』
それを勘違いだと思わせないままゴールできてしまうのが、レクサスの凄いところなのでしょう。

ドリフト走行時、カウンターを当てるタイミングは、車自体が教えてくれるよう。
リアがどれくらい滑っているのか、よく分かるので安心できるのです。
これもまた過信させるポイント。
その直後、「GT-R」で同じコーナーで同じスピードで入ったら、普通にスピンしました・・・。
※「GT-R」が「GS-F」より悪い商品だという意味ではありません。

愛車を大切にしたいオーナーには現在のレッドゾーンを教えてくれる機能まで搭載。
エンジンが冷えている状況ではレッドゾーンの値が低く表示されています。
これはオールグラフィックメーターの為せる技。
その緻密さ、緻密さ、は欧州勢が比肩できない高いレベルです。

そして、表示が7,300回転になれば全速力可能のサイン。
サーキットに持ち込むようなオーナーが安易にアクセル全開にするわけもありませんが、こういうのを視認できるのも‘楽しさ’です。

難点があるとすれば、安定しすぎていて所謂‘ヒヤヒヤ’感が欠けるところでしょうか。
面白い、という意味では「IS-F」のほうが、と仰る方もいらっしゃると思います。

次ページは>>>
「日常使いメインとしては厳しすぎる」です。

「GS300h/GS450h」4代目 L10型/10系 2012年-現行

バランスの良さでは、GS300h

「GS300h」は4代目「GS」が発売された後、1年半以上遅れた2013年10月17日に登場。
以降、「GS」の売れ筋になっています。

ベースグレードで6,153,000円~という価格も購入検討する方たちにとっては魅力的なラインなのでしょう。

逆に「GS450h」が7,428,000円~というのは先代の6,830,000円~より、約60万円、値上がりしているのも影響してか、売れ行きは‘いまいち’のようです。

さて、好調の「GS300h」、乗り味のほうはどうなのでしょうか?

もしかすると、ライバルは他のGSではなく、2,500cc直4エンジン+モーター、全く同じシステムを搭載する、210系 2012年~の「クラウンアスリート ハイブリッド」なのかも知れません。

実際、よく似たセッティングと言えます。

ただし、約100kg重いせいか、重厚感は「GS300h」が上です。

遮音性も行き届いており、モーター走行と、エンジン走行の切り替え時の音は「クラウンアスリート」のものより車内に入ってきません。

『ハイブリッドの違和感が嫌い』と、お思いの方には是非、試乗していただきたい商品です。

ステアリングの反応は「クラウンアスリート」に一歩譲るものの、軽めのセッティングで、どなたでも運転しやすい車に仕上がっています。

『昔はよく飛ばしたけど、今はこれで充分』。
そんな思いで、ゆったり走るのが似合う商品だと思います。

レクサス全般にいえることですが、外装カラーの斑(むら)の無さ、内装の質感は同価格帯の欧州車を凌駕しているので、それだけでも一見の価値あり、です。

 



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「GS450h」・・・この無駄なパワーに血が騒ぐ・・・

上級グレードになると1,000万円に迫ろうというプライスタグにも拘わらず、「GS450h」もやはり、気になるという方も多くいらっしゃいます。

ディーラーで立て続けに試乗してしまうと、パワー感の違いに驚くのではないでしょうか?

「GS300h」も日常域では過不足のない商品ですが、「GS450h」のアクセルを踏んでしまうと、

『これは強烈すぎるなぁ・・・。しかし、300hも非力っちゃあ非力のような気がしてきた』

そう、お感じになるかも知れません。

「GS300h」では坂道では多少、踏み込まなければいけないですし、急勾配では多少の‘もたつき’に寛容さは必要になってきます。

しかし、「GS450h」ではその心配は全く御無用。

まるで、大排気量のディーゼルのようにどこまでも登ってゆきます。

さらに、刺激が欲しい方には<SPORT>モードが用意されており、ダイヤル一つで鬼のような加速を味わうことも可能。

この<SPORT>モードでは、先代190系「GS450h」のような爆発的な加速力を垣間見ることができます。

しかし、先代の、モーターをターボチャージャー代わりに使うセッティングとは異なるようで、この10系「GS450h」は<SPORT>モードにすると、とにかくよくエンジンが先行して回ります。

速さに特化しているのが190系「GS450h」だとすると、スピードメーターとエンジン回転数の違和感が非常に少なく、まるでNAエンジンに乗っているかのような爽快さが10系「GS450h」の特徴でしょう。

ステアリングフィールは「GS300h」含め、「GS-F」を除くほかの「GS」シリーズと同じく、軽め。

切り角を大きくしていっても負荷はさほど掛からない、まさに電子制御ならではのハンドリングです。

それが<SPORT>モードでは、多少、手ごたえがあるように。

おそらく、ほとんどの時間を<NORMAL>で走行すると思いますが、たまに‘その気’になりたいとき、その気にさせてくれる粋な演出です。

7,428,000円~8,435,000円というプライスタグは決して安くはありませんが、ライバルらしき商品が、不在の「GS450h」。

買った後に『あっちにしておけば良かった・・・』と思う要素は無いと断言できるでしょう。

下に価格表、諸元表もございますので、よかったらご覧ください。

 

 

 

○関連記事ご紹介

先代「GS450h」の魅力は色褪せない?
試乗記は
>>>こちら

 

「GS300(200t)/250」の試乗記
もございます。
>>>こちら
「GS350については
>>>こちら

 

日常域では「・・・」な
「GS-F」の試乗記は
>>>こちら

 

 

同じ3,500cc+モーターでも
こんなに違う「マジェスタ」
については
>>>こちら

 

○レクサス10系「GS300h」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

価格対評価 普通
運転楽しい度 悪い
後席居住性 普通の下
リセール価値 良い
故障のしにくさ 非常に良い
部品の安さ 普通

 

○レクサス10系「GS450h」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

価格対評価 良い
運転楽しい度 非常に良い
後席居住性 普通の下
リセール価値 良い
故障のしにくさ 非常に良い
部品の安さ 普通

10系「GS」税込価格表
GS300=200t5,770,000円
GS300=200t"I package"6,166,000円
GS300=200t"F SPORT"6,599,000円
GS300=200t"version L"6,777,000円
GS300h6,153,000円
GS300h"I package"6,549,000円
GS300h"F SPORT"6,982,000円
GS300h"version L"7,160,000円
GS3506,430,000円
GS350"I package"6,826,000円
GS350"F SPORT"7,465,000円
GS350"version L"7,437,000円
GS450h7,428,000円
GS450h"I package"7,824,000円
GS450h"F SPORT"8,463,000円
GS450h"version L"8,435,000円

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10系「GS300h」主要諸元表
全長4,880mm
全幅1,840mm
全高1,455mm
ホイールベース2,850mm
最小回転半径5.3m
車両重量1,730kg~1,770kg
乗車定員5名
エンジン種類直列4気筒DOHC
トランスミッション電気式無段変速機(CVT)
総排気量2,493cc
エンジン最高出力131kW[178PS]/6,000r.p.m
エンジン最大トルク221N.m(22.5kgf-m)/4,200r.p.m-4,800r.p.m
モーター最高出力105kW(143PS)
モーター最大トルク300N.m(30.6kgf-m)
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
JC08モード21.4km/L~23.2km/L

10系「GS450h」主要諸元表
全長4,880mm
全幅1,840mm
全高1,455mm
ホイールベース2,850mm
最小回転半径5.3m
車両重量1,820kg~1,860kg
乗車定員5名
エンジン種類V型6気筒DOHC
トランスミッション電気式無段変速機(CVT)
総排気量3,456cc
エンジン最高出力217kW[295PS]/6,000r.p.m
エンジン最大トルク356N.m(36.3kgf-m)/4,500r.p.m
モーター最高出力147kW(200PS)
モーター最大トルク275N.m(28.0kgf-m)
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
JC08モード18.2km/L

「GS450h」3代目 S190型/190系 2006-2012年

速さでは4代目を上回る

この「GS450h」が発売された2006年から数年経過すると、ホンダが「アコードハイブリッド」をJC08モード:30km/Lで発売したり、マツダの<スカイアクティブテクノロジー>が台頭してきます。

トヨタのハイブリッドシステム<THS-Ⅱ>だけがECOではなくなりました。

トヨタ=レクサスの大型セダンも低燃費化の道を進まざるを得なくなります。

それだけ燃費競争が凄まじく、皆さん、大型セダンがカタログ燃費、20km/Lくらい普通だと感じるようになっている昨今。

190系「GS450h」
10.15モード:14.8km/L
JC08モード:12.6km/L

2000年発売の4,300ccの30系セルシオは10.15モードで8.2km/L だったことを考えると、この450hの燃費に驚くのも無理はないでしょう。

 



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他社のハイブリッド化は遅れていたので、トヨタはこの時代、思い切った作戦に出ています。

<パワーハイブリッド>

公式名称ではないですが、レクサス広報が『ハイブリッドは燃費が良いというイメージばかり先行しがちですが、この「GS450h」で是非、ハイブリッドのパワーというのをお客様に知っていただきたい』と、言っていたのは確かです。

乗るまでは「まあ、そうでも言わないと売れないしな」と、高を括っていたのですが・・・。

異常な中間加速

出だしからして、パワーが有り余っている演出があります。

3,500ccの車だと思ってアクセルを踏むと、モーターが鋭く反応するため、想像以上に‘スルスル’と走りはじめるのです。

僕が初めて乗ったのは2009年。

ちょうど4代目メルセデス「Eクラス(W212)」がデビューした年で、そのEクラスと似た印象を持ったのを覚えています。

たまたま、メルセデスの営業マンと話す機会があったのですが、彼も同じように感じたそうなので、似ている部分は間違いなくあるのでしょう。

「どこが?」
と、聞かれるとステアリングの感触でしょうか。

回し始めの数cmは遊びが多いかな?と感じるものの、そこは人間に対する配慮。

その後はとても素直で、どれくらい回したのかを‘戻る力’で教えてくれるのが少し懐かしいセッティング。

360°以上、回すと、大きく右左折、あるいはUターンと判断した設定なのか、急にタイヤが角度を変えてくれるのも、この「GS」と、メルセデス「Eクラス」の特徴。

狭い道も気になりません。

横幅 1,820mm。
1,850mm超になると、都会の狭い道では使いにくくなりますが、この「GS」は許容範囲といえるのではないでしょうか?

時速30kmで走っていても、パワーの余力感がありすぎて、少々の怖さを覚える、この「GS450h」。

かなり‘浅く’踏んでいないと、すぐに加速するため、低速をキープするのが少々、難しいと言えます。

街中走行は「GS350」のほうが、神経質にならず運転できるでしょう。

しかし「GS450h」の加速力を味わってしまうと、車が好きな方は一気に惚れてしまうのではないでしょうか?

5,000万円クラスの海外高級ブランド車が大排気量にターボを併せたって、この車の反応速度には0.1秒遅れているような気がしました。

踏みこむ⇒「ドンっ!!」

タイムラグがほぼ無いのです。
もちろん、シートに押し付けられる気持ち良いGも味わえます。

加速の仕方も大排気量の加速と違い、エンジン回転数も控えめで、妙な感覚です。

宇宙船にでも乗っているような”

そんな譬えをしたくなるほど異次元体験でした。

セミアニリン本革を選ぶ注意点

他のレクサス車に較べ、やや本革シートのヘタりが気になるのが、この「GS」。

弊社に中古車で入ってきたのがセミアニリンレザー仕様が多かったせいかも知れません。

セミアニリンレザーは、いわゆる普通の本革と違い、‘なめす’ときに薄くカットしているので柔らかさがある反面、耐久性に難があるように思います。

もちろん、新車購入して5年くらいは何の問題もないでしょうが、中古車でレクサスをお考えの場合はご注意なさったほうが良いポイントです。

>>>次ページは
「狙い目は何年式?」
「2012年~の10系GS450hとの比較」です。

「GS350」 S190型/190系 2005-2012年(さおり著)

幻のクラウン190系が、この「GS」

クラウンオーナーの方から、よくご質問いただくのが「クラウンってなぜ、190系がないの?」

190系は、この「GS」なんです。

結構、有名な話らしいんですけど、今でもお客様にちょくちょくご質問いただきます。

「GS」こそ幻の190系と聞くと、いろいろ想像しちゃいませんか?

もともと、クラウンとして開発されていたのかな?、とか。

でも、そんなことはなかったみたいです。

数字は単に数字。

深読みしたくなる心理は出ちゃいますけどね^^。

 



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それにしても、この初代はキレイ!

ルーフが後ろに向けて下がっていく角度なんか、もう芸術的です!

おかげで、これだけの車格なのに後部座席がVIPじゃないのはご愛嬌。。

その前に、このお車、初代って書いちゃっていいのかな?

アメリカのレクサスでは、日本名「アリスト」とは名づけられなくて、ずっと「GS」だったので、事実上、3代目「GS」ということになります。

ううん・・・ちょっと、ややこしいですね。

美しさの代償はもちろん、、頭上空間

さて。

乗り込んでみると、ルーフデザインのせいで、頭上空間が制限されているのが、すぐ分かります。

「低っ!」

まるで、スポーツカーのよう。
って、着座位置は普通なので、ルーフが想像以上に下がっているのでしょう。

これは後部座席だけじゃなく、運転席でも感じます。

特にムーンルーフ装着車は、厳しいっ

大柄な男性だったら、頭上スペース、かなりギリギリかも。

162cmの私が低いと思うので。

じゃあ、後部座席はよっぽど?
と、思われるかも知れませんが意外と座れるんです。

それはシートが‘く’の字に作られているから。
ヒップポイントだけを下げることで、頭上空間を生み出しています。

だから、展示車をご覧になる際、パッと座って、
「お。意外とイケるね」
と、思って使っていると、
「‘く’の字シートじゃん!」と、後ろの人が怒っちゃうとか、ありそうです。
油断ならない仕掛けです・・。

「GS」って‘Grand Touring Sedan’のことなんですけど、3名乗車以上でのロングドライブは・・・な商品。

「IS」は割り切って作ってもいいけど「GS」はもうちょっとだけ配慮が欲しかった気がします。

当時はレクサスにSUVもなかったので、つまり、後部座席が快適なのは「LS」だけだったわけですね。

でも、これだけ美しいサイドビューを毎日、見られるならそれくらい我慢、、かな。

くれぐれも後部座席にいつも人を乗せる方は、ご購入の際、お気をつけください。
なにしろ、この「GS」、タクシーとして使用する許可が下りなかったんです。トホホ。

 



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GS350を運転してみて

2005年8月発売当初は「GS」には350/430の二本立てでした。

約7ヶ月後の2006年3月に450hというハイブリッドがラインアップされています。

今となっては、350=3,500ccなんて結構、大きな排気量ですけど、2005年当時の印象は異なります。

430に憧れるけど、日常ユースで考えたら350で充分かな、みたいな。

価格差は「GS350」が5,200,000円~、「GS430」が6,300,000円~でしたし、自動車税、燃費などを考えると、350を選択するお客様のほうが随分、多かったようです。

なぜ、そう思うかというと、買い取らせていただいたのは「GS350」が最も多く、「GS430」はむしろ珍しいくらいだからです。

1:10ではないにしても、1:5は越えてます。

実際に乗ってみると、
「あ。やっぱり、こっちでいいかな」
と、いう安心感。
3,500cc、ノンターボの気持ち良さが存分に味わえます。

200系「クラウン・アスリート」にも同じ3,500ccが設定されていますが、スポーティなのは「GS350」のほう。

次ページは>>>
「スポーティな理由とは??」です。

「IS250」GSE20系 2005-2013年

2013年-現行「IS」にはないもの

全然、買い替える気がなかったのに、中古車として入ってきた際、乗ってみたら、どうしても欲しくなってしまった・・・。

それが、このアルテッツァ改め、日本でも「IS」として発売された車でした。

まだまだ、発売間もない頃。
中古車を新車より100万円安いくらいのプライスタグを弊社でも掲げていました。

預金残高を確認すると、希望は儚くも消えたのも今は良い思い出です(と、言いたい)。

その魅力的な「IS」について書く前に、少しだけ先代の話をさせてください。

かつて「アルテッツァ」(1998-2005年)と呼ばれた商品は、開発途中に「ライトスポーツって言ったけど、やっぱりラグジュアリー系でいこうか」というお達しがあり、車重ばかり嵩んでしまった悲しい車でした。

軽快さは“そこそこ”。
ラグジュアリーな乗り心地、内装・・・ではなかったです。

しかし、価格を考えると充分に価値はありました。

ただ、アルテッツァの価格帯で、マツダの初代「アテンザ」が発売されていたわけですから、トヨタにも一貫してライトスポーツでいって欲しかった気がします。

 



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レクサス初代「IS」は、先代アルテッツァの完璧版

レクサスの名を冠した初代「IS」は、あの時代とは、まったく“様相の異なる味つけ”と申し上げても良いでしょう。

わずかに、似ているのは外観くらいです。

価格もアルテッツァの最終モデル、最高グレードで335万円(最廉価は220万円)ですから、おおよそ200万円アップ

「アルテッツァ」の名前のまま新型で出したら、苦情ばかりで全く売れなかったでしょう。

たしかに較べるべくもないステージの商品です。
内装の質感は、ベンチマークと言われる3シリーズ含め、欧州勢に肩を並べるどころか上をいくレベル。
走りもレクサス独自のものを明示していました。

“ラグジュアリー”と“スポーツ”・・・相反するポイントさえ、簡単に共存させてしまう日本ならではの技術の結晶でした。

次世代の「IS」、2013年-現行モデルに乗った後でも、それを感じるのはどういうことでしょうか。
2013年-現行「IS」もまた、非常にレベルの高い商品です。

ただ、独自の乗り味と申しましょうか、 数分間、試乗しただけで「ほしい!」と、車ファンを唸らせるだけの訴求力は、初代「IS」のほうが強かったと思います。

>>>次ページは
「IS250/350の2択で悩んだお客様続出?」です。

「IS-F」 1st 2007-2014年 20系

語り継がれる名車「IS-F」

「IS-F」はコンバーチブル(2ドアでハードトップの屋根が開くタイプ)の「IS-C」と共に、セダン販売終了した2013年の後も約1年間販売され、幕を閉じた名車です。

ベースとなる「IS」は2005年8月レクサス日本開業から1ヶ月後に導入され、販売数主力車種となっていました。

 



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しかし、購入者アンケートの結果、「乗り心地が硬すぎる」との指摘が多数あったため、2007年の年次改良で大幅にサスペンションの設定を変更。

「IS-F」の登場は、その2007年の12月まで待たなければいけません。

R35型「GT-R」をライバル視?

乗り出し価格で800万円というのは驚きでした。

スーパースポーツである日産 R-35型「GT-R」と同価格帯だったから、というのもあります。
「GT-R」も発売当初は777万円~という破格のプライスタグでした。
「GT-R」は年次改良で翌年、価格が100万円値上がりしてしまったのもまた、ビッグニュースだったものです。

国産スーパースポーツは、だいたい一台売れるごとに赤字が増えると言われているほどですから日産としては、已むにやまれぬ値上げだったのでしょう。

採算度外視が可能という意味では「IS-F」を手がけたトヨタのほうが一枚も二枚も上。

とはいえ、発売当初モデルより販売終了時モデルのベースグレードで約70万円値上がりしているのですが、「GT-R」の比ではありません。

ただ、両車とも消費税5%⇒8%への増税分は差し引いて考えるべきでしょう。
「IS-F」で23万円、「GT-R」だと26万円も増税の煽りを受けています。

「IS-F」ベースグレード価格(税込)
2007年 7,660,000円
2014年 8,331,429円

「GT-R」 ベースグレード価格(税込)
2007年 7,770,000円
2014年 9,309,600円
2017年  9,960,840円(参考)

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そして、「GT-R」のほうが年次改良に力を入れているのは事実。
値上げについては、一概に申し上げられない部分もあります。
「GT-R」の、まるで別の車になったかのようなチューニングには毎年、驚かされるばかりです。

ちなみに発売当初と比較すると「GT-R」は年々、相当にマイルドになっており、2012年モデルあたりからは、何とか街乗りもこなせるレベルに。

R-35型「GT-R」ファンのお客様の中には当初の超ソリッドなサスペンションこそ、という方もいらっしゃいますが、サーキットばかりも走っていられないので「GT-R」の購入は中古車なら高年式に狙いを絞ったほうがいいかもしれません。

では「IS-F」のほうは、どうなのかと申しますと、2007年当初から街乗りも充分にこなしていましたし、セダンですから4名乗車もそれなりに対応しています。

表現としてはIS-Fの「充分にこなす」対GT-Rの「何とかこなす」ですが、高年式のGT-Rとでも比較にはならないほどIS-Fには実用性があります。

普通に乗れて、荷物も積める、しかも車ファンでもなければ“パッと見”は普通のレクサス。

これこそが「IS-F」をお買い求めになる方が、ぞくぞくする点ではないでしょうか?
能ある鷹は・・・みたいな、この空気。

紳士然たる雰囲気と、あの映画のようなマッドなV8気分も

車内に届くエンジン音はノーマルのV6とは懸け離れているため、ちょっとバレますが、そこはV8マニアでもなければ、分からないレベル(たぶん)。

<ENGINE START>ボタンを押したら、もう「ドロ・・ドロドロ」と低めの音を奏でており、ドライバーは「まあ、踏んでみなよ」と挑発され続けます。

挑発に乗らないのも、また良し。

少々、乗り味の硬さはあるものの、普通にドライブできます。

助手席の方も、のんびりと聞きたいCDを選んでいるかも知れません。

何気ないことですが、これこそトヨタだけが可能な演出だと思うのです。
低速~中速で流しているときは「普通の車」という。

いかなるメーカーもスポーツカーを手がけるとドライバーが挑発に乗ろうが乗るまいが、常にアドレナリンが噴出するような走りを展開します。
それもまた魅力的ですが、「IS-F」の紳士の顔も持つ車はいかがでしょうか?

当然ながら、アクセルを踏み込めば、豹変します。
まさに豹変です。
LS600hも同じ5,000ccを積んでいますが、電気的なそれとはまた違う、まるで獰猛な肉食獣が獲物を見つけたときのような瞬間的で、かつ強力な加速を見せます。

残念なことに、運転者含め乗客の居心地は完全無視です。

獣の咆哮にも似たエンジン音と、風切り音、ロードノイズ、これらがミックスされて、脳内をかき乱します。
シートに押し付けられる車というのはあるにしても「IS-F」のそれは強力な電磁石でもシートに潜んでいるのかと思うほど。
まあ、不快ったらありません。

そうです。
それほど、快感なわけです。
もう、笑ってしまいます。

適度なしっとり感がなぜか消えない本革

ステアリング。
中古でも“べとついた”商品は見たことがありません。
このへん、やはり国産車の実力でしょう。

そして、ハンドリングもまた秀逸。
特別に硬いフィーリングではないのも特徴です。
もちろん、ノーマル「IS」と較べると手ごたえはあります。

無闇に硬いセッティングはされておらず、寧ろ、微細なタイヤの角度を感じられるよう配慮されたかのような感触です。

質感も含め、個人的には最良のハンドリングの一つだと思います。
ただ、「BMW」Mのフィーリングに慣れているお客様は“やわらかすぎる”とお感じになるようで、お乗換えに至らなかったこともある、と追記しておきます。

次ページは>>>
「5,000ccの維持費」「欲しいOP(オプション)」です。