「セルシオ」の後継は「LS」ではない
「セルシオ」の後継といえば、レクサス「LS」だとお思いの方が多いのではないでしょうか?
海外では「セルシオ」は長らく「LS」として販売されていたのは事実です。
しかし「LS460」(4代目 2006年-2017年)に乗ってみれば思うのは
『これは、違う』
誤解なきよう先に申し上げますが、「LS460」は素晴らしい車です。
1,875mmという車幅は、国内では難はあるものの、海外では特に気にするほどの数値でもなかったでしょう。
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2006年は、立体駐車場(横幅1,850mm制限が多い)をご利用していた3代目「セルシオ」(車幅1,830mm)のオーナー様にとって「LS」(車幅1,875mm)への買い替えが難しかったため、「セルシオ」の質の良い中古車が高値をキープしていました。
僕たちは横浜に「セルシオ」ばかり入札しに行ったものです。
5代目「マジェスタ」こそ
180系4代目「マジェスタ」も価格相応の商品ではありました。
しかし、「セルシオ」より小ぶりなボディでは「セルシオ」以上を実現するのはなかなか難しかったようです。
もっとも、4代目「マジェスタ」が発売された2004年当時はまだモデル末期の3代目「セルシオ」が販売されていましたから、機能面などで上回るわけにいかず、制約が多かったと聞きます。
それに対して、この5代目「マジェスタ」は2006年に消えた「セルシオ」に遠慮する必要はありませんでした。
車幅1,810mm、全長4,995mmとボディサイズは拡大し、価格もCタイプで、6,950,000円。
同じCタイプで比較すると、4代目登場時は6,090,000円でしたから、相当な値上がりを敢行したと言えます。
それもそのはず、実際、乗ってみると、この5代目は4代目と較べて、一つ格上の車種だということが誰しも分かると思います。
エンジンは2006年に「LS460」に採用された4,600cc V8エンジン。
「LS460」は「LS600h」というラグジュアリーに特化した商品がレクサスに存在していたため、実はかなりスポーティ寄りでした。
それが、「セルシオ」後継ではないと感じる最大の点です。
エンジン音は、やや低く設定されており、アメリカンスポーツを思わせる雰囲気すらあります。
新型「セルシオ」と呼べる仕上がり
相当、スポーティ寄りな「LS460」と違い、ゆったりと乗れる商品を目指して開発されたのが、この5代目「マジェスタ」です。
たしかに30系「セルシオ」に似てはいますが、ステアリングは‘しっかりした感触’を得、切り始めの遊びも少なくなっていることで運転のし易さが増しています。
また、急ハンドルを切ったときにリアが流れる感覚が消えていることから明らかにボディ剛性が上がっているのが分かります。
4代目「セルシオ」と呼んでも誰もが納得する商品でした。
そして、静けさ。
「セルシオ」といえば、静粛性の高さではライバルを凌駕していました。
5代目「マジェスタ」は、これに磨きをかけています。
この「マジェスタ」は、静けさに加えてエンジンの吹き上がりが‘さらに’滑らかになっているのが特徴です。
ATが8速に進化したこともあるでしょう。
30系「セルシオ」は前期は5速AT、マイナーチェンジされた後期でも、6速ATでした。
8速の「マジェスタ」は、特に低速のシフトチェンジが恐ろしくスムースなので、大排気量エンジンにありがちな低速でのトルク不足を全く感じさせないまま加速していきます。
日常域である40km/h~60km/hは基本、無音。
風切り音も、コントロールされており、やたらと静かな車内です。
ロードノイズが、わずかに入ってくるばかりというレベルに仕上がっています。
これだけの静粛性を得るために2008年に発売されていた、200系「クラウン」から、さらに吸音材を見直しています。
わずかにでも空洞ができた箇所には発砲素材で空気振動を抑える配慮も為されています。
リアガラスは「クラウン」の、3.5mmから4mmへ、サイドガラスは4mmから5mmへ変更。
ドアトリムの吸音材に至っては6mmから10mmと、実に4mmも厚くなっていることには驚きました。
その他、全グレード標準装備のエアサスの空気量を増加させつつ乗り心地に芯を持たせる技術など、静粛性に対する創意工夫は枚挙に暇がありません。
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Aタイプ‘Lパッケージ’とは?
この「クラウンマジェスタ」にはAタイプという少々、変わったグレードが存在していました。
いわゆるベースグレードに該当するのですが、そのAタイプの‘Lパッケージ’にしか装備されていないシステムがあったのです。
それは<アクティブステアリング統合制御>
ハンドリングが少々、過敏になるので、この商品をお買い求めになるような方々に好評を博したとは思えませんが、面白い試みでした。
また、Aタイプ‘Lパッケージ’には特製のボルドーの本革シートが奢られます。
他グレードでは選べない上、艶のある色合いだったので魅力的に映りました。
その代わり、オプションでもリアエアコンやリアプリクラッシュセーフティなどの後部座席に対する装備は選択できないという・・・。
フロントドア・リアドアのイージークローザーすらオプション選択できませんでした。
そのくせ、標準でサンルーフが付いてくるのは、ちょっと意味不明でした。
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しかし、走りは、珠玉」