「GS-F」L10型/10系 2015年-現行

別物

※「GS」にそっくりですが、マニア向けですので、ご注意ください。

外観から分かる違いは少々、ローダウンされた車体とマフラー、大型ホイールなど「GS-F」を知らない人からすれば特に注目されない差異ばかりです。

「IS-F」は実物を間近で見ると、フェンダーの膨らみがノーマル「IS」と明らかに違っていたものですが、「GS-F」はそれほど感じません。

しかし、乗り込んでみると、硬そうなバケットシートがお出迎え。
これが案外、硬すぎず街乗りでも違和感のない仕立てです。

地味に“ブラック×ブラック”にコーディネートもいいですが、せっかくの‘F’ですから、“ブラック×オレンジ”などはいかがでしょうか?
 



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さすがに、車に詳しくない彼女でも「レーシングカーみたい」と言ってくれるかもしれません。

ただ、どうやら女性という人たちはスポーツカーに興味がないので、彼女受けを狙うには全く不向きな商品です。

あの「フェラーリ」ですら、最初は「へー、凄いぃ」と感動したふりをするものの、乗り降りのしにくさに辟易して文句を言われることすらあるものです。

「フェラーリ」は富豪確定だと誰もが知っているので、何とか媚びてくれる可能性も残されていますが、「GS-F」の知名度は限りなくゼロに近いでしょう・・・。

そんなわけで本当に車好き、かつサーキット走行もお好きな方でないと、間違いなく買って後悔する商品のご紹介です。

猛獣系であることはすぐ分かる

エンジンスタートボタンを押すと、『ブオォォン!』と爆音と共に目を覚ますV8エンジン。
他の「GS」と比較すると、『おおっ・・・』とこちらが引いてしまうような音量です。

まあ、それでも「ランボルギーニ」「フェラーリ」に較べると近所迷惑まではいかないかな、という可愛いレベル。

先ほどご紹介したバケットシートに乗り込むと、
『バケットシート風なんだ』
と、妙に感心。

人間工学に基づいてシートを作ると、このバケット風に落ち着くのでないか?と、議論したくなるほど運転しやすいです。

左右のサポートを強力、かつ自然に行なえるのは、バケットシートの魅力でしょう。
この「GS-F」のシートはバケット状でありながら、背もたれと座面が分割されているのです。
8ウェイという細かくポジション設定できる機能が、また憎い。

デメリットは腰を落ち着かせて座らないといけないので、見下ろして運転するSUVやミニバンには不向きであることでしょうか。
逆にスポーツセダンには運転席だけOP設定できる車種があっても面白いかも知れません。

さて、アクセルを踏んでみます。

相変わらずの爆音は奏でているのでしょうが、遮音性がやたらと行き届いているせいで『あ?対向車線にそんな車が?そうか。自分か』と“ノリツッコミ”ができるほど。

かなり、オブラートに包まれたV8サウンドが聞こえてはきます。

ただ、その音質は、いかにもレーシングカーの‘それ’。
実に心地良いものです。

これには少々のトリックがあります。
<アクティブサウンドコントロール>によりサウンドチューニングされたエンジン音と排気音が前後のスピーカー(RC-Fはフロントのみ)から流れてきているのです。

プレミアムブランドではBMWがやり始めた手法で、最初はチューニングされた音をスピーカーで聞くなんて・・・という否定的な声も聞かれたものです。

しかし、実際のエンジン音も併せて聞いているわけです。

サーキットを走る上で、エンジン回転数をエンジン回転数を把握しやすいシステムですし、何より気持ち良い・・・。
それだけでも、必要な装備といえるのではないでしょうか。

この「GS-F」のV8 5,000ccは、4,500回転あたりから、やや高い音質になります。

官能的でついつい踏み込んでしまうのですが、時速100キロ以上出せない公道では、その音を聞くことはありません。

 



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サーキット専用といっても過言ではない

メルセデスの“AMG”やBMWの“M”がそうであるように、レクサス「GS-F」もサーキット用に仕立て上げたスポーツサルーンです。

サーキットでの素晴らしさは言わずもがな、日本車を酷評するジャーナリストにも概ね好評でした。

<スポーツS+モード>での走行は、サーキットの常連でなくても楽しめる設定。
直進安定性は2007年に登場した「IS-F」を相当に上回ります。

もちろん、車体の大きさも影響しているでしょうが、ボディ剛性のレベルが非常に高いので、時速200km出しても結構、余裕に感じられます。
『運転うまくなったのか?』
それを勘違いだと思わせないままゴールできてしまうのが、レクサスの凄いところなのでしょう。

ドリフト走行時、カウンターを当てるタイミングは、車自体が教えてくれるよう。
リアがどれくらい滑っているのか、よく分かるので安心できるのです。
これもまた過信させるポイント。
その直後、「GT-R」で同じコーナーで同じスピードで入ったら、普通にスピンしました・・・。
※「GT-R」が「GS-F」より悪い商品だという意味ではありません。

愛車を大切にしたいオーナーには現在のレッドゾーンを教えてくれる機能まで搭載。
エンジンが冷えている状況ではレッドゾーンの値が低く表示されています。
これはオールグラフィックメーターの為せる技。
その緻密さ、緻密さ、は欧州勢が比肩できない高いレベルです。

そして、表示が7,300回転になれば全速力可能のサイン。
サーキットに持ち込むようなオーナーが安易にアクセル全開にするわけもありませんが、こういうのを視認できるのも‘楽しさ’です。

難点があるとすれば、安定しすぎていて所謂‘ヒヤヒヤ’感が欠けるところでしょうか。
面白い、という意味では「IS-F」のほうが、と仰る方もいらっしゃると思います。

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「日常使いメインとしては厳しすぎる」です。