有終の美
<21世紀へ、このクラウンで行く>の、クラウンです。世紀の節目だというコピーを使っていながら、新技術搭載車ではなく、むしろ熟成を極めたのが、この11代目170系です。
180系「ゼロクラウン」からは、その後、15年使われることになるプラットフォームが開発され、いわゆる“ふんわりクラウン”はこの代で見納めとなります。
個人的に昭和のクラウンが追い求めていた究極が、この11代目170系ではないかと絶賛中の為、入庫するたびに、お客様にベタ褒めして薦めてしまいます。
そして、170系だけいつも在庫がなくなるという珍事・・・。
社長も「なんでだろうなあ。スカイラインも良い車(←根っからのスカイライン好き)なんだけどなあ」と、不満を漏らしたりしていますが、まあ、在庫が捌けるのは喜ばしいので、ここだけの話にして(笑)。
まず、素晴らしいのは、内装。
代々クラウンから受け継がれてきた使いやすさと、品質の良さには脱帽です。
もう、20年近くになろうという個体でもスイッチ類のバネのヘタリは見たことないですし、たとえばCD挿入口の蓋やコンソールボックスの、ゆっくり開閉する様は当時のまま。
このあたり、やはりお金を掛けていたのだなあ、と感心するばかりです。
6連奏CDチェンジャー+7スピーカーの品質も高いです。
今やCDを車内に持ち込む必要もない時代ですから6連奏は時代の産物としても、真髄はそのスピーカーです。
140系「クラウン」、150系「クラウン」、そして170系のスピーカーは本当にいいです。
すみません、130系以前は分からないので、悪いというわけじゃないです・・・。
180系「ゼロクラウン」と200系「クラウン」は、メーカーが変わったのでしょうか?
少しだけ音が軽くなっていたような気がします。
その反省からか210系「クラウン」、220系「クラウン」は音質はまた戻ってきています。
この170系、外観も、時代に流されないトヨタらしい雰囲気があると思います。
誰かの真似をした、というわけではないのがいい。
スポーティに路線変更してゆく前の、最後の気品が醸しだされている気がするのは僕だけでしょうか(たぶん・・・)。
走りは、おそらくみなさんのご想像どおりの味わいです。
ふんわり。
アンダーステア。
限界速度、低めの車体。
しかし、僕が絶賛するのは、限界速度が100km/hに引き上げられていることです。
つまり、100km/hまでは非常に安定し、静粛性も高いわけです。
燃料を直接筒内に噴射するシステムが功を奏したのでしょうか、振動は150系以前より明らかに少ないです。
最小回転半径5.2m。
ようやくストレスなくUターンできるように大幅に改善されています。
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減点ポイントは、発進時のアクセルワークが難しいこと。
普通に踏むと、ドンっ!と出ることがあるのです。
最初だけ、そろっと踏むコツが求められます。
パワーがあるっぽい演出が、必要な車ではないのに・・・。
唯一、残念な点です。
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