2016年度 自動ブレーキ1位がマツダのアクセラのわけ

アクセラがほぼ満点で予防安全評価1位のわけは?

2015年までなら、スバルが圧倒していた衝突安全ブレーキ。
2016年に入りトヨタも<Toyota-Safety-sense>を次々に導入し、本格的に参入。
日産のミリ派レーダーは先行車両の下を抜けて、先々行車両の動向まで監視するなど、技術は日々、進化を遂げています。

そんな混沌とした中でマツダのアクセラが自動車アセスメント予防安全評価で1位になった記事をご覧になって驚いた方も多いと聞きます。
これは、2016年度から対歩行者自動ブレーキの部門が25点分、加わり、これまでの対車両自動ブレーキの46点+25点=71点満点に変更されたことが大きな要因です。

交通事故による死者のうち、歩行者が約37%(平成27年)を占めるわけですから、対歩行者自動ブレーキは前々から評価すべき、との声もありましたが対応できる車種が非常に少なかったため昨年までは見送られていました。
2016年からようやく対歩行者用自動ブレーキ部門が新設され、新車購入予定の方は大いに参考になる評価基準となったのではないでしょうか。

それにしても、昨年までの46点満点といい、71点満点といい、分かりにくい点数の付け方はちょっとお粗末ですね・・。

マツダ・アクセラは対歩行者自動ブレーキの確認作動域が10~60km/h。
スバル・フォレスターやインプレッサの確認作動域15~60km/hに対して徐行運転速度域で5km/hのアドバンテージが認められ、70.5点/71点を獲得。

0.5点減点の理由は50km/h~60km/hからの対歩行者ブレーキの反応がいまいちだったのが理由のようです。

日産車が一台も選ばれていないのは、今回、NASVA 独立行政法人の自動車事故対策機構に申請しなかったから。つまり、メーカー側にとって必須事項ではなく、宣伝のために評価を貰いに行って、ようやく試験してもらえるのです。
日産車も対歩行者用自動ブレーキは技術としてありますので、何か思惑があったのでしょう。
この独立行政法人のやり方に不満があったのかも知れません。

最後になりましたが、マツダ・アテンザあるいはマツダ・CX-5ではなく、マツダ・アクセラが最高評価だったのでしょう。
システム自体は同じはず。
実は、この試験はシステムの良し悪しを測定するのではなく、あくまで停止までの距離が重要になりますので、車体は軽いほうが高評価を得やすいわけです。

では、なぜ、スバル・インプレッサの他に車両重量のあるはずのフォレスターも2位なのでしょうか?
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フォレスターが2位だった理由、それは“Eye-Sight version3”レーダー式ではなく、カメラ式だからです。
高いところから見たほうが視野が広いので、車体の重さを帳消しにするアドバンテージがあったのでしょう。

2017年度以降、ますます加熱するであろう、衝突軽減ブレーキ、ご購入予定の方は見極めが難しいですが、衝突軽減ブレーキが有ると無いでは雲泥の差です。
設定の無いお車にお乗りの場合は、買い替え時は“今”と考えてもいいのかな、と思います。

>>>関連記事 「国内初の衝突軽減ブレーキ搭載車は何?」

衝突軽減(自動)ブレーキが初めて搭載された車種は?

衝突軽減ブレーキっていつから付くようになったの?

衝突軽減ブレーキ、現在ではすっかり馴染みのあるオプション、場合によっては標準装備する車種なんかも出てきましたが国産車への初搭載は意外に遅くて21世紀に入ってから。

研究は1991年から始まっていたそうなので、実用化にはかなり時間を要したことになります。

研究自体が難航したというよりも認可を受けるまでが大変だったそうです。
さて、その初認可が下りた車種は意外な車なのですが、大した話題にならず・・・。

2003年、ホンダの“インスパイア”
に初めて衝突軽減ブレーキが採用されたものの、一般的にはまだ認知されるほどの話題にはなりませんでした。

それもそのはず、「機械を過信しすぎると困るんじゃない?」との理由で

『最終的な停止は人間が行なわなければならないよう設定する』

という文言が加えられていたせいで、各メーカーが当時、最高の技術を搭載できなかったからでもあります。

そういうところ、日本は遅れを取るのが常でして、2008年にボルボ”XC-60″に搭載されていた最終的な停止まで行なってくれる衝突軽減(自動)ブレーキのデータを見てからようやく認可されることに。

『運転者が機械を過信しないよう、ぎりぎりまで自動ブレーキの介入は控えるように』

と、また、但し書きが添えられていたせいもあり、当時、最先端を走っていたスバルの“Eye-Sight version2”の開発には苦労したと聞きます。

しかし、苦労の甲斐あって、スバルの“Eye-Sight version2” は衝突軽減(自動)ブレーキを知らしめる立役者になります。CMで「ぶつからないクルマ」というキャッチフレーズを流したのも効果があったのでしょう。version2からversion3にアップデートされた頃はまだ、他社の技術が開発途上だったため、スバルの業績は常に上方修正しなければいけないほどでした。

“Eye-Sight version2”のオプション価格が約100,000円というのも当時としては破格値でした。それまでは、車両価格5,000,000円の1割近くというのも当たり前でしたから。

その後、日産がミリ派レーダーと単眼カメラの複合技術を以って市場へ本格参入。
遅れてトヨタも、Toyota-Safety-senseを導入。
ちなみに<Toyota-Safety-sense C>と<Toyota-Safety-sense P>との大きな違いは歩行者検知能力
Pにはより高度なミリ派レーダーが搭載されているため、各反応速度域が広いのも特徴です。

>>>下に続きます。

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複眼カメラのスバルも手をこまねいているわけではないですが、ライバル社の追い上げが凄まじいのは事実。
“Eye-Sight version4″が、version3に対してどれほど進化させられるかは、今後のスバルを占う大きな要素となるでしょう。

>>>関連記事 「マツダのアクセラ、自動車アセスメント予防安全評価70.5点(71点満点)わけ」