語り継がれる名車「IS-F」
「IS-F」はコンバーチブル(2ドアでハードトップの屋根が開くタイプ)の「IS-C」と共に、セダン販売終了した2013年の後も約1年間販売され、幕を閉じた名車です。
ベースとなる「IS」は2005年8月レクサス日本開業から1ヶ月後に導入され、販売数主力車種となっていました。
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しかし、購入者アンケートの結果、「乗り心地が硬すぎる」との指摘が多数あったため、2007年の年次改良で大幅にサスペンションの設定を変更。
「IS-F」の登場は、その2007年の12月まで待たなければいけません。
R35型「GT-R」をライバル視?
乗り出し価格で800万円というのは驚きでした。
スーパースポーツである日産 R-35型「GT-R」と同価格帯だったから、というのもあります。
「GT-R」も発売当初は777万円~という破格のプライスタグでした。
「GT-R」は年次改良で翌年、価格が100万円値上がりしてしまったのもまた、ビッグニュースだったものです。
国産スーパースポーツは、だいたい一台売れるごとに赤字が増えると言われているほどですから日産としては、已むにやまれぬ値上げだったのでしょう。
採算度外視が可能という意味では「IS-F」を手がけたトヨタのほうが一枚も二枚も上。
とはいえ、発売当初モデルより販売終了時モデルのベースグレードで約70万円値上がりしているのですが、「GT-R」の比ではありません。
ただ、両車とも消費税5%⇒8%への増税分は差し引いて考えるべきでしょう。
「IS-F」で23万円、「GT-R」だと26万円も増税の煽りを受けています。
「IS-F」ベースグレード価格(税込)
2007年 7,660,000円
2014年 8,331,429円
「GT-R」 ベースグレード価格(税込)
2007年 7,770,000円
2014年 9,309,600円
2017年 9,960,840円(参考)
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そして、「GT-R」のほうが年次改良に力を入れているのは事実。
値上げについては、一概に申し上げられない部分もあります。
「GT-R」の、まるで別の車になったかのようなチューニングには毎年、驚かされるばかりです。
ちなみに発売当初と比較すると「GT-R」は年々、相当にマイルドになっており、2012年モデルあたりからは、何とか街乗りもこなせるレベルに。
R-35型「GT-R」ファンのお客様の中には当初の超ソリッドなサスペンションこそ、という方もいらっしゃいますが、サーキットばかりも走っていられないので「GT-R」の購入は中古車なら高年式に狙いを絞ったほうがいいかもしれません。
では「IS-F」のほうは、どうなのかと申しますと、2007年当初から街乗りも充分にこなしていましたし、セダンですから4名乗車もそれなりに対応しています。
表現としてはIS-Fの「充分にこなす」対GT-Rの「何とかこなす」ですが、高年式のGT-Rとでも比較にはならないほどIS-Fには実用性があります。
普通に乗れて、荷物も積める、しかも車ファンでもなければ“パッと見”は普通のレクサス。
これこそが「IS-F」をお買い求めになる方が、ぞくぞくする点ではないでしょうか?
能ある鷹は・・・みたいな、この空気。
紳士然たる雰囲気と、あの映画のようなマッドなV8気分も
車内に届くエンジン音はノーマルのV6とは懸け離れているため、ちょっとバレますが、そこはV8マニアでもなければ、分からないレベル(たぶん)。
<ENGINE START>ボタンを押したら、もう「ドロ・・ドロドロ」と低めの音を奏でており、ドライバーは「まあ、踏んでみなよ」と挑発され続けます。
挑発に乗らないのも、また良し。
少々、乗り味の硬さはあるものの、普通にドライブできます。
助手席の方も、のんびりと聞きたいCDを選んでいるかも知れません。
何気ないことですが、これこそトヨタだけが可能な演出だと思うのです。
低速~中速で流しているときは「普通の車」という。
いかなるメーカーもスポーツカーを手がけるとドライバーが挑発に乗ろうが乗るまいが、常にアドレナリンが噴出するような走りを展開します。
それもまた魅力的ですが、「IS-F」の紳士の顔も持つ車はいかがでしょうか?
当然ながら、アクセルを踏み込めば、豹変します。
まさに豹変です。
LS600hも同じ5,000ccを積んでいますが、電気的なそれとはまた違う、まるで獰猛な肉食獣が獲物を見つけたときのような瞬間的で、かつ強力な加速を見せます。
残念なことに、運転者含め乗客の居心地は完全無視です。
獣の咆哮にも似たエンジン音と、風切り音、ロードノイズ、これらがミックスされて、脳内をかき乱します。
シートに押し付けられる車というのはあるにしても「IS-F」のそれは強力な電磁石でもシートに潜んでいるのかと思うほど。
まあ、不快ったらありません。
そうです。
それほど、快感なわけです。
もう、笑ってしまいます。
適度なしっとり感がなぜか消えない本革
ステアリング。
中古でも“べとついた”商品は見たことがありません。
このへん、やはり国産車の実力でしょう。
そして、ハンドリングもまた秀逸。
特別に硬いフィーリングではないのも特徴です。
もちろん、ノーマル「IS」と較べると手ごたえはあります。
無闇に硬いセッティングはされておらず、寧ろ、微細なタイヤの角度を感じられるよう配慮されたかのような感触です。
質感も含め、個人的には最良のハンドリングの一つだと思います。
ただ、「BMW」Mのフィーリングに慣れているお客様は“やわらかすぎる”とお感じになるようで、お乗換えに至らなかったこともある、と追記しておきます。
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