クラウンハイブリッド/ 13代目/GRS200系/2008-2012年

何だこれは!?獣のようなクラウン

トヨタ広報さん、記者から「ロイヤル、アスリート、ハイブリッドと3モデル、がラインアップされる中で一番の自信作はなんですか?」と聞かれ、間髪いれず、

「ハイブリッドです!」

と回答したのは、たいへん記憶に残っています。

ちなみに2008年発売の200系クラウンには“ハイブリッド”という車種があり、ロイヤル、アスリートとは一線を画す個別モデルで、カタログも計3冊用意されていました。

ハイブリッドのカタログは水色~青色に統一された色使いで、いかにも環境に配慮したエコカーという印象。

燃費は、10.15モードで15.8km/L(JC08モードで14.0km)と、当時の大型セダンの中では目を引くほど良かったのですが、2006年にレクサスから発売されていたGS450hという全く同じパワートレインを持つ車が10.15モードで14.2km/L(JC08モードで12.8km)だったことを踏まえると少々、物足りないような気もしました。

それもそのはず、トヨタのたまに出る暴走企画(?)がこんなところで発動していたのです。

当時の技術で3,500ccエンジンを積んだハイブリッドでも、燃費はおそらく18km/hくらいに設定することは可能だったはず。

それを敢えて、しなかったのはなぜでしょうか?

先述したGS450hへの強い意識です。
後にも先にも共存ではなく、明らかにレクサスに対抗しようとしたトヨタ車は、これだけではないでしょうか?

しかも≪速さ≫という分野で、です。

燃費でも表向き勝る必要があったため、ノーマルモードでは少々、出力を抑えて10%ほどGS450hを上回る設定にしたのは“一応”クラウンだから。

重量もクラウンのほうが60kg軽いので、10%オフくらい朝めし前だったでしょう。

じつはスポーツモードというクラウンらしからぬコマンドが用意されていたのには驚きました。タコメーターが青⇒≪真っ赤≫に変化します。

試しにアクセルを踏み込んでみると、それはもう、恐ろしい加速でした。
シートに背中が押し付けられるクラウンなど誰が想像したでしょうか。
「キュイーィン!」とモーターで怒涛の加速を味わったあと、中間加速では「フォォォン!」と勇ましくV6エンジンの音が被さります。

試乗しながら、「ひゃ~!」と、バルログばりの奇声を発したのは後にも先にもこれ一台でしょう。

 



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そう。
このクラウンハイブリッドはクラウンの皮をかぶったスーパーGS450hだったのです。
なにがスーパーなのかは後述するとして、じつは僕が初めて乗った日、ドライブレコーダーの音声がONになっており、あとで、社員からからかわれる始末。いい歳して情けない・・・。

さて、GS450hに対抗、そして勝ちにきたのは何も速さだけではありません。

以下の二点はその最たるものです。それぞれ、大変、高額なシステムなだけに、クラウンハイブリッドの執念を感じます。

一つは『アクティブ・ノイズコントロール・システム』。

エンジンの出すこもり音を天井のマイクで検知し、その都度、逆位相の音を発するスピーカーを搭載していました。
これはGS450hには搭載されなかったシステムです。

次ページは>>>
「200系“ハイブリッド”の意外な、ご購入理由」です。

控えめなブランド力の真髄を発揮?

二つ目は,ナビからの道路情報から路面段差を学習し、ショックアブソーバーの減衰力を制御するシステムです。

つまり一度通った凸凹道が、どれほどのものだったのか記録し、二度目以降、乗り心地が格段に良くなるというものです。この『NAVI・AI-AVS』はGS450hにも搭載されていましたが、GSの9段階制御に対して、クラウンハイブリッドは10段階制御。

どこまでも勝ちにきているのかが、お分かりになるかと思います。

革シートもハイブリッド専用の洒落たダークブラウンを用意して、価格はレクサスGS450hより1,000,000円以上安いし、値引きも含めれば充分、勝つ見込みは出てきます。

実際にその通りになりました。

GS450hが負けたわけでもないでしょうが、とにかくクラウン自体の売れ行きに、ハイブリッドモデルが貢献したのは間違いありません。
ナビは標準装備とはいえ、クラウンとしては、やたら高いプライスタグのくせに寧ろロイヤルより売れるのです。

後日、ご購入されたお客様に、購入の決め手を伺ってみるとやはりレクサスと検討した上で、という方が多かったです。

 

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「GSもいいけど、何かレクサスはお高くとまっているみたいでさ」

そう、おっしゃった、お客様の言葉がクラウンの控えめなブランド力を証明していたのではないでしょうか。

レクサスもまだ“微笑むプレミアム”と控えめなブランドを謳っていた時代でさえ、控えめなイメージでは負けなかったのが、この「クラウンハイブリッド」でした。

この闘いの後、しばらくしてスピングリルを全面に押し出し、控えめなブランドを捨て去り、ブランドを強くアピール、‘レクサス’は突き進む道を選びます。

「控えめでは勝てない」、レクサスにそう思わせたのが、この「クラウンハイブリッド」だったとしたら?

そういう空想に近い想像さえさせてしまうほど特異な車種でした。

とにかく猛烈に速い200系「クラウンハイブリッド」。
孤高の存在、まだまだお薦めの商品です。

次ページは>>>
「中古車市場で“買い”のグレードはどれだ?」です。

オススメグレードは?

2018年6月に 15代目「クラウン」がデビューしてからは中古車価格は急降下している200系「クラウンハイブリッド」。

売れ筋は2010年2月以降のマイナーチェンジモデル。
ハンドルの意匠変更(シルバー加飾部分追加)や、リアランプカバーの赤色化(MC前は透明)くらいですが、goo-netやカーセンサーで検索するときに2010年以降で絞込みする方が、とても多く、2008年、2009年モデルは激安状態です。

 

これは欲しい!
200系の珍しいオプションについては
>>>こちら

 

お薦めグレードは“Gパッケージ”。

多少、値は上がりますが、“Lパッケージ”には付いていない装備が複数あります。
当時、“Gパケ”と“Lパケ”の価格差は400,000円。

以下が“Gパケ”専用装備です。
※“Lパケ”でオプション設定もある装備もございます。

○パワーイージーアクセスシステム
○プリクラッシュセーフティシステム
○プリクラッシュシートベルト(前席)
○全ドア イージークローザー(“Lパケ”はラゲッジのみ)
○アクティブノイズコントロールシステム
○リアシート自動リクライニング(“Lパケ”は固定式)

旧式とはいえ、15km/h以上、30km/h以内でしたら追突事故が防げる衝突軽減ブレーキシステムは、やはり付いていてほしい装備です。

セーフティセンス開発前、トヨタは弱気でカタログにも具体的な数字が記されていないのですが、開発担当者の話などを総合すると上記のスピードなら緊急ブレーキが働き、停止します。

その範囲外の場合は、警報音が鳴り、その後、緊急ブレーキが作動しますがスピードに応じて追突自体は起こります。

なお微速の場合は警報音が鳴らない場合もあります。

併せて付いてくるクルーズコントロールは50km/h~100km/h。
これは高速道路では重宝します。

後席に人を乗せることが多い方は“Gパケ”に絞ってみてはいかがでしょうか?

2010年式、5万キロ以内で車検込み支払総額1,700,000円前後というのが2018年時点での弊社の価格です。

よかったら参考にしてください。

 



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ハイブリッドバッテリーの寿命は何年?

中古車としてハイブリッド車をご購入する際、気になってくるのがハイブリッドバッテリーの寿命

これまで数十台のトヨタ‘ハイブリッドカー’のバッテリー交換を承りましたが、全部、生産されてから10年以上経過していました。

距離に関しては11万キロ台の個体が最も走行距離が短く、他は20万キロ台前後でした。
中には28万キロという個体もありました。

平均すると、13年~14年、走行距離17~20万キロといったところでしょうか?
年数か距離かでいうと明らかに多走行による交換のケースが多いです。

消耗したところで動かなくなるわけではありませんが、モーター走行可能な時間、距離が短くなり、満充電できた状況からの減りも早くなります。

『いや。もう、エンジン走行だけでいいから』

モーター走行の時間が短くなってくると、そう言いたくなってきます。

この200系「クラウンハイブリッド」の実燃費は10km/L程度ですが、バッテリーが消耗してくると10%~15%低下。

そして、メーターに“ハイブリッドシステムチェック”の表示が出れば、さすがに交換のご案内をさせていただいています。

気になる値段は、バッテリー代+工賃で、およそ30万円弱。

メーカーからの仕入れ値自体が25万円近くすることもあり、ウチでも工賃込みだと8%消費税込28万円・・・。

信頼できる正規ディーラーで30万円なら、そこでお任せしてみてはいかがでしょうか?

ちなみにディーラー系列の中古車店なら
“ハイブリッドバッテリーの寿命保証、新車登録後10年”
との謳い文句がある店舗も多くありますので、ご購入の際はチェックしてみてください。

つまり、平成22年12月登録車と平成23年1月登録車では1年の差が出てしまうということです。

下記、諸元表、当時の価格表もございます。
よかったらご参照ください。

 

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○「200系 クラウン・ハイブリッド」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

総合評価 非常に良い
運転楽しい度 良い
後席居住性 非常に良い
リセール価値 良い
故障のしにくさ 非常に良い
部品の安さ 普通

ハイブリッド 価格表
ハイブリッド5,400,000円
ハイブリッド Lパッケージ5,800,000円
ハイブリッド Gパッケージ6,200,000円

ハイブリッド主要諸元表
全長4,870mm
全幅1,795mm
全高1,470mm
ホイールベース2,850mm
エンジン種類V型6気筒DOHC
トランスミッションCVT(電気式無段変速機)
総排気量3,456cc
エンジン最高出力218kW[296PS]/6,400r.p.m
エンジン最大トルク368N.m(37.5kgf-m)/4,800r.p.m
モーター最高出力147kW(200PS)
モーター最大トルク275N.m(28.0kgf-m)
車両重量1,830kg~1,840kg
乗車定員5名
最小回転半径5.2m
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
JC08モード14.0km/L
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