美しく、走る
『美しく、走る』は140系の4年後に発売された150系のキャッチコピー。
一転、直線的なデザインを取り入れた意欲作でした。
CMではヴァイオリニストの諏訪内晶子さんや、バレリーナの草刈民代さんを起用し、
『この、ときめきはなぜですか?』
『あなたは静かなのに熱い』
なんて言わせて
『クラウンを教えてください・・・』と、きます。
その後に映し出される150系クラウンがえらく艶っぽく見えてしまう手筈です。
当時、ベンツっぽいなあ、と思った記憶があるのですが今見るとそうでもないですね。
“メルセデスベンツ”コンプレックスがあったのは僕のほうだったのでしょう。
150系は入庫した個体の多くがデジタルメーターでした。
デジタルがステータスを作る時代でもあった80年代~90年代
その名も《スペースビジョンメーター》。
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しかし、これがせわしない。チカ・・・チカチカチカと1km/hごとに動くので結構、気になります。普通、運転していると視界には入らないはずが、気になると止まらないものです。
ご購入の際は、是非、アナログメーターを。
ボディにはクラウン初のモノコックボディ採用ということで高速走行が得意になっているのかというと・・・。少々、マシかな、という程度。快適に走れる速度、10km/hくらいは上がっているでしょうか。それでも、80km/hでハンドルに震えが来なかった個体はないので、高速道路によく乗る方には、もうオススメできません。
総じて、140系のアップデート版といった感じです。
不満のあったオートマも4速のままです。
ただし、見えないところでの進化があります。
この頃は“衝突安全ボディ”GOAがもてはやされ始めた時代でもあります。
10代目でクラウン初採用となったモノコックボディは衝突時にキャビンが守られる構造になっており、好評を博しました。
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また、運転席・助手席のエアバッグを標準装備になっているのは、さすが、です。
今でも、せっかく素晴らしい衝突軽減ブレーキを開発しておいてオプションに回して車両価格を抑える会社がありますが、あれはやめてほしい・・・。
そういうのに頓着しない方にこそ、付けていただきたい装置なのに、と思います。
じつは、このモノコックボディ、マークⅡからの流用ということで当時、物議を醸しました。それまではクラウン専用設計だったのです。
今ではマークXもクラウンもISもGSも同じプラットフォームでも誰も文句を言いませんが(?)、当時はクラウンが他の車種とプラットフォームを共有するなんて!と、オーナーは不満に思ったそう。
それだけ、特別な車だった時代です。
レクサスが日本上陸する10年も前に発売された自動車ですから。
歴代のクラウンを知る方には「本当のクラウンは130系、あるいは140系で終焉した」とも言われているらしいですが、いえいえ、僕の中では“いつかはクラウン”の究極が150系の次(160系は、なぜか、ありません)の11代目170系だと思っています。
1995年当時の新車価格表 |
|
---|---|
ロイヤルエクストラ2,500cc | 2,950,000円 |
ロイヤルサルーン2,500cc | 3,300,000円 |
ロイヤルサルーン3,000cc | 3,650,000円 |
ロイヤルサルーンG 3,000cc | 4,100,000円 |
ロイヤルサルーンG 3,000cc GPSボイスナビゲーション付EMV装着車 | 4,500,000円 |
1995年の大学初任給194,200円(現在の価値では170,000円弱と言われています)。概算で、3,600,000円⇒約4,400,000円。
つまり、10代目ロイヤルサルーン3,000ccと14代目(2016年時点、現行モデル)の事実上、エントリーグレードが同価格です。
2,500ccは随分、安価に設定されています。
9代目クラウンは正にバブル崩壊直後の販売でした。大学初任給ではドン底時より約5%も改善された1995年にも拘わらず、値下げしたのかとも思えるプライスタグ。
おそらく、やや景気が回復してきたところを見越して、中層階級が贅沢したくなる好景気がくるのを予想した上での価格帯とはいえないでしょうか?
<サラリーマンの皆様にも、あのクラウンが買えますよ。
もちろん、既存のお客様には3,000ccをご用意いたします。
さらにご希望なら4,000ccのマジェスタやセルシオもございます>
こんな、イメージをトヨタは描いたのかも知れません。
数では2,500cc:3,000cc=2:1 で入庫しているので、予定どおりだったのでしょうか?
実際、この頃の2,500ccは3,000ccに較べると、馬力不足で営業マンも3000ccを積極的に薦めていた時代でした。
何と!150系では、カタログ上とはいえ燃費まで3,000ccの方が優れているともなれば、どうしようもありません。
要するに車両本体価格と維持費を気にする人は、2,500ccを、というわけです・・・。
現在のダウンサイジングの波なんて、まだ立っていない静かな海面でした。
初代プリウスが発売される2年前のことです。
ちなみに、GPSボイスナビゲーション付EMVとは、画面上でナビやエアコンが一括操作できる先駆けのシステム。
当時から使い勝手の良いシステムだったと聞きますが、問題は価格だったのでしょう。
あまり装着車、見かけません。
現在では余り役に立ちませんので、装着車だからといって敢えて高く売ることもできないのが現状です。
タッチパネルが壊れていることも多いので、もしご購入検討の方、いらっしゃいましたら、現車にて操作確認をお薦めいたします。
140系「クラウン」試乗記は
>>>こちら
170系「クラウン」試乗記は
>>>こちら
○「クラウン/150系」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫
総合評価 | 普通 |
運転楽しい度 | 悪い |
後席居住性 | 非常に良い |
リセール価値 | ※※※ |
故障のしにくさ | 非常に良い |
部品の安さ | 普通 |
○主なスペック○
エンジン:水冷直列6気筒DOHC 2500cc,3000cc
最高出力(ネット値):160kW(220PS)/5,600r.p.m(3,000cc)
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
10.15モード:9.0km(2500cc),9.4~9.8km(3000cc)
全長4,820mm 全幅1,760mm 全高1,425mm
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