つい、クラウンについて語りたくなる・・・
12代目のゼロクラウン以来の衝撃であることは間違いありません。
外観、走り、内装、すべてが次のステージへ引き上げられた220系15代目クラウンです。
今回は売れ筋の直列4気筒2,500ccのハイブリッドの試乗評価です。
特にオススメしたいのは冒頭の画像にもあるS “C パッケージ”。
その理由は後ほど。
エンジンは先代に引き続き4気筒ですが、エンジン自体もフルモデルチェンジ(自動車のフルモデルチェンジはエンジンもモデルチェンジしているとは限らない)。
2017年に発売された「カムリ」に搭載された燃焼効率40%以上というダイナミックフォースエンジンを搭載しています。
この新型エンジン、明らかにトルクがあるな、と感じたのを覚えています。
210系 14代目「クラウン」直列4気筒エンジン
最大出力:131kW(178PS)/6,000r.p.m
最大トルク:221N・m(22.5kgf・m)/4,200-4,800r.p.m
220系 15代目「クラウン」直列4気筒エンジン
最大出力:135kW(184PS)/6,000r.p.m
最大トルク:221N・m(22.5kgf・m)/3,800-5,400r.p.m
エンジン回転数を表すr.p.mの太字の値をご覧ください。
最大トルクこそ同値ですが、その値が出る回転数域が広いのです。
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これによりモーターの出力にムラが出ないため、先代よりモーター⇔エンジンの切り替えが少なくて済むのでしょう。
非常にスムースな仕上がりです。
ダイナミックフォースエンジンの欠点とは
「カムリ」が素晴らしい車であることは間違いありません。
しかし、エンジン音を聞いて、良い、とか、官能的だ、とか、スポーティだ、とかいう表現は出てこなかったのです。
少し低めのザラザラした音質と申しましょうか。
決して上質とはいえなかったと思います。
ところが、これが「クラウン」に積まれると、変貌・・・。
横置きから縦置きにした、とかいう問題ではないと思います。
お金をかけると、こうも違うのかと驚きました。
エンジン音も、歴代の仕様とは違い、かなり、<聴かせる演出>が為されています。
その音は、スポーティな質感を伴っており、さらにアクセルを踏み込んでいきたくなるほどです。
聞けば13代目「クラウンハイブリッド」で初搭載された‘アクティブノイズコントロールシステム’がハイブリッドモデルは全車標準装備なのだとか。
これはエンジンから発生する不快な‘こもり音’をルーフに備え付けられたスピーカーから逆の周波数の音を出すことにより相殺する素晴らしいシステムです。
当たり前ですが、スピーカーからの相殺音が聞こえることなどありえません。
ひたすらエンジン音が美しく聴こえます。
「それだけ?」
とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、不快な‘こもり音’は長距離ドライブで長い時間、聞き続けると疲労が増大するという研究結果が出ているほどの大きな問題。
つまり、自然とドライブが快適だと思う、そんな車に仕上がっています。
>>>次ページは
「最も素晴らしい点を一つだけ言うと」
「歴代クラウンとの比較」
一言で印象をいうなら?
15代目クラウンは、間違いなく‘買い’でしょう。
素晴らしい点は数えられないほどあります。
それでも、特に何が素晴らしいのか?と、一つあえて申し上げると、
『思いどおりに曲がる』
この点を挙げたいと思います。
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20世紀のクラウンといえば、アンダーステアでした。
ハンドルを回しはじめても最初のうちは車体の挙動にあまり影響を与えない設定。
9代目クラウン
10代目クラウン
11代目クラウンまでは、言うなら適当にステアリングを握っていても、低速~中速までは直進安定性があったものです。
その代わり、時速80kmを超えると‘ふらつき’が出るのが欠点でした。
それが12代目クラウン【ゼロクラウン】で劇的に変化を遂げます。
時速100kmだからといって、ブレがなくなりました。
高速道路の走行については間違いなく一級品でした。
しかしながら、低速~中速までの細かい凹凸を拾ってしまう癖や、当時、新米エンジンだった、名作V6エンジンのサウンド、フィーリングもまだまだ荒さが目立っていました。
13代目クラウンは外観こそキープコンセプトでしたが、走りはまた異なる路線を狙っていたように思います。
特にロイヤルのステアリングフィールは本当に軽く希薄で、タイヤが地面にどう接触しているのか全く分からないほどでした。
好き嫌いの分かれる‘無機質さ’がそこにありました。
14代目クラウンは15代目が発売されてから思うと、成功したクラウンとは言えないと思います。
最も秀逸なのが2,500ccV6エンジン単体モデルという声も業界ではありました。
何より先代ハイブリッドから燃費向上を狙ったエンジン、1,000ccもダウンサイズした2,500cc 直4エンジンがバランスが悪く、非力すぎました。
ただ、ステアリングについては、12代目と13代目の良いとこ取り、といった好印象。
切れすぎず、無機質すぎず、まさに‘適度な’フィールと呼べるものでした。
ただ、この220系15代目「クラウン」に乗ってしまうと、14代目の‘適度な’が‘アバウトな’という表現に変わってしまう方もいらっしゃるかも知れません。
それほど意図した通りに、まさに糸を引くように、イメージと同じ動きを取ってくれる自動車、それが2018年6月26日に発売された15代目「クラウン」です。
最小回転半径は0.1m悪化
数値上は先代より0.1m悪化しています(先代ロイヤルと、ロイヤルに該当するSパッケージ比較)。
ホイールベースが2,850mmから2,920mmへ変更したことの影響と思われます。
5.2m⇒5.3m
ただし、この数値どおりに最小回転半径の悪化を嘆くユーザーはいらっしゃらないでしょう。
参考のために申し上げると「BMW320i」は、全幅は「クラウン」と同じ1,800mm、ホイールベースが2,810mm(-110mm)であるにもかかわらず、最小回転半径5.3mです。
それでも、先代「クラウン」と比較すると、ステアリングの小気味良さは断然、BMW320iにありました。
体感として小回りが利かないと感じ始めるのは大型セダンの場合、5.5mではないでしょうか。
この「クラウン」より1年前に発売されたFF(車体前部にエンジンで前輪駆動)の「カムリ」は標準5.7m、19インチを履く上級仕様は5.9mで、日常使いには何も問題は感じないものの、さすがに小気味良さはありません。
「クラウン」はFR(車体前部にエンジンで後輪駆動)のメリットもあるのでしょう。
最小回転半径については微塵もご心配は無用だとお伝えしておきます。
ベストバイは、S ”Cパッケージ”
最も、お買い得なのはS “C package”でしょう。
価格も5,157,000円~と手頃(?)な上に装備も充実。
RSには付いてこないエアコン吹きだし口のスィングが標準。
そして、ヘッドアップディスプレイやブラインドスポットモニターなどのセーフティパッケージも標準装備です。
RSでは上記装備はオプションです(RSアドバンスには標準装備)。
そして、S “C パッケージ”の17インチタイヤの乗り心地は同乗者の共感も得られやすいと思います。
18インチを履くRS/RS Advance(アドヴァンス)やG-Executive(エグゼクティブ)とはまた違った仕上がりなのです。
RSなどは、完全なドライバーズカーと申しましょうか。
RSやエグゼクティブについては、下にリンクがございますので、よかったらご参照ください。
○関連記事
ハイブリッドRS/RS Advance。
試乗記は
>>>こちら
試乗記は
>>>こちら
乗り換えていいのか?
G-Executive。試乗記は
>>>こちら
14代目「クラウン」については
>>>こちら
やはり存在感はない?
「カムリ」の試乗評価は
>>>こちら
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○220系 15代目「クラウン」 S “C package” 評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫
総合評価 | 非常に良い+ |
運転楽しい度 | 非常に良い |
後席居住性 | 非常に良い |
リセール価値 | 非常に良い |
故障のしにくさ | 非常に良い |
部品の安さ | 良い |
トヨタ15th「クラウン」220系 税込価格表 |
|
---|---|
2.0 B | 4,606,200円 |
2.0 S | 4,746,600円 |
2.0 S "C package" | 4,941,100円 |
2.0 RS-B | 5,000,000円 |
2.0 RS | 5,1804,000円 |
2.0 G | 5,416,200円 |
2.0 RS Advance | 5,594,400円 |
2.5 S | 4,978,800円 |
2.5 S "C package" | 5,157,000円 |
2.5 S Four | 5,194,800円 |
2.5 S Four "C package" | 5,373,000円 |
2.5 RS | 5,416,200円 |
2.5 G | 5,621,400円 |
2.5 RS Four | 5,632,200円 |
2.5 RS Advance | 5,799,600円 |
2.5 RS Advance Four | 6,015,600円 |
2.5 G-Executive Four | 6,323,400円 |
3.5 S | 6,237,000円 |
3.5 RS Advance | 6,906,600円 |
3.5 G-Executive | 7,187,400円 |
「クラウン」220系 2,500cc 2WD Hybrid 主要諸元表 |
|
---|---|
全長 | 4,910mm |
全幅 | 1,800mm |
全高 | 1,455mm |
ホイールベース | 2,920mm |
最小回転半径 | 5.3~5.5m |
車両重量 | 1,730-1,770kg |
乗車定員 | 5名 |
エンジン種類 | ダイナミックフォース直列4気筒 |
トランスミッション | 電気式無段変速機(CVT) |
総排気量 | 2,487cc |
エンジン最高出力 | 135kW[184PS]/6,000r.p.m |
エンジン最大トルク | 221N.m(22.5kgf-m)/3,800-5,400r.p.m |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
モーター最高出力 | 105kW(143PS) |
モーター最大トルク | 300N.m(30.6kgf-m) |
動力用主電池 | ニッケル水素電池 |
WLTCモード(総合) | 20.0km/L |
WLTCモード 市街地 | 17.2km/L |
WLTCモード 郊外 | 20.8km/L |
WLTCモード 高速 | 20.9km/L |
JC08モード | 23.4-24km/L |