「クラウン」アスリート/2,500ccハイブリッド・3,500ccガソリン 14代目 210系 2012年~2018年

脳裏に焼きつく強烈グリルデザイン

2003年発売のクラウン180系、通称名「ゼロクラウン」は文字通り、新しいクラウンでした。プラットフォームも一新して、エンジンも直列6気筒からV型6気筒へ。

乗り味にクラウンっぽさを残しつつ、劇的なフルモデルチェンジだったと思います。

アスリートモデルは、かつて「170系」にも設定されていたものの、あちらはロイヤルからの派生モデルといえる商品でした。

「180系=ゼロクラウン」からは正に別物といえる走りに特化したクラウン”アスリート”が展開されていきます。

批判もありました。
「180系」では、クラウンのふんわり感が全くと言っていいほど消えていたというのも事実。

特にアスリートの鋭い走りは評論家には評価され、販売台数に影響ありませんでしたが、これまでの購入層からの支持は少なかったようです。

2008年、ゼロクラウンからフルモデルチェンジした200系「クラウン」(190系は存在しません)では随分、乗り心地がマイルドに戻っていたのには正直、驚きました。

ただ、ゼロクラウンからの外観の変化が少なかったこと、満を持して投入した「クラウン/ハイブリッド」がレクサスの「GS450h」を意識したのか超高速サルーンとして開発してしまい、燃費面でのアピールができなかったことが影響。

クラウンにしては余り販売台数が伸びなかったモデルでもあります。

そして、2012年。
外観、サイドビューはクラウンらしさを踏襲しつつ、フロントグリルのデザインで世間を驚かせます。誰もが何か意見したくなるグリルで、たちまち評判を呼び、CMでは元AKB48の前田敦子さんをピンクのクラウンに乗せるなど「CROWN Re BORN」のキャッチコピーに併せた宣伝も効果を発揮、販売台数を伸ばしたのが、この210系「クラウン」アスリートです。

 

スポンサーリンク



 

乗り味は先代200系より、アスリートとロイヤルの差別化が図られています。

ロイヤルがゼロクラウンの走りの良さに振った乗り味から、かつてのような柔らかさを取り戻したため、とも言えるでしょう。

このロイヤル、最近の車にしてはある意味、冒険ともいえる柔らかい乗り心地、そしてアンダーステアなので「アスリートと、どっちにしようか?」と迷って試乗したお客様は、ほぼ間違いなくアスリートを購入されていました。

お一人で運転する機会が多い方には、アスリートは、お薦め商品です。
ロイヤルとの最も大きな違いは、段差を越えたときの突き上げが厳しいことでしょうか。

「トンっ」と、きてすぐに収まるのですが、この商品は“クラウン”。
もう少しマイルドでもいいかな、と思ったりはします。

ただ、あの稲妻グリルを購入できるということは、お仕事で後部座席に大事なお客様を乗せなければいけない・・・というプレッシャーとは縁の余りない方、つまり自家用車としてのご使用目的なのでしょう。

やはり小気味よくハンドルが切れるのはアスリート。
運転していて楽しいです。
奥様とロイヤルの試乗はなさらぬよう、くれぐれもご注意を(笑)。

次ページは>>> 「エンジンが4種もあるアスリート」です。

エンジンは何と4種

今回のハイブリッドモデルは先代のパワーハイブリッドからは方向転換し、燃費向上を大々的に謳っています。

JC08モードで21km~23.2km/L、実燃費でも16km~18km/L、と先代「クラウン」ハイブリッドを遥かに上回ります。
しかも、ハイオクからレギュラー仕様に変更されています。

毎月のガソリン代が気になる、先進のハイブリッドモデルに乗っていたい、環境に配慮したい、etc…。理由はさまざまあるでしょうが、とにかく買うならハイブリッド、そう決めておられるお客様は多いです。

ハイブリッドモデル、当然ながら間違ったご選択ではありません。

ただ、ロイヤル同様、もし迷っておられるならガソリンモデルのご試乗も忘れずになさってみてください。
マイナーチェンジを折に追加された2,000ccターボは候補から外すわけには参りません。

 



スポンサーリンク

 

新たに設定されたターボの個性

2017年9月時点で、何と3つのガソリンモデルが存在します。
直列4気筒2,000ccターボ、V型6気筒2,500cc、V型6気筒3,500ccです。
ハイブリッドはロイヤルと同じ直列4気筒2,500ccを積みます。

このうち、2,500ccモデルは4WDモデルのみという何とも不親切な設定・・・。おそらく2WDはマイナーチェンジに合わせて登場した2,000ccに持っていかせたいのでしょう。

ちなみに210系クラウンの中にあって、無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)指定なのは、アスリートの3,500ccと2,000ccターボのみ。

この2,000ccターボというのが、かなりの兵(つわもの)です。

 

中古車210系ターボ車
入庫しました。
2018年モデル220系との比較記事は
>>>こちら

 

ターボはうるさいよ、もっと、静かに飛ばしたいんだ!という方には3,500ccがあります。

こちらはV6の大排気量というものあって、本当に静かです。
踏み込めば聞かせる演出もありますが、2000ccターボほど回している感覚はなく、いわば本家アスリートといった感じです。

これならお仕事で後部座席も使えそうだし、助手席の奥様もついウトウトしてしまう、なんてこともありそうです。
魅力的とはいえ、3,500ccは高額なのでレクサスや海外ブランドと競合してしまうのが難点でしょう。

>>>次ページ は「最終マイナーチェンジ、当時の値引き情報」です。

Toyota Safety Sense Pの設定、走りの質感アップのビッグMC

静粛性で選ぶなら、やはりハイブリッドモデルがあります。

ロイヤル同様、モーターとエンジンの切り替わる音が入ってきたり、アクセル開度とエンジン回転数が比例しないのに違和感があったりしますが、燃費はJC08モードで21~23,2km/Lと、他のガソリンモデルの約2倍。

これは見逃せません。

クラウンで走りの良さを味わいたいけど、燃費も気になるよなあ、という方、本当に多くいらっしゃるようでウチでは210系クラウンの販売台数の約70%ほどがハイブリッドモデルでした。

一人で乗ってアクセル踏んで楽しみたい方には2,000ccターボ、4WD必須の北国の方には2,500cc、リッチな方には断然、3,500cc、ご家族一緒にお出かけが多い方にはハイブリッドモデル、でしょうか。

安全面では、2016年8月29日のMC以降、<トヨタ・セーフティ・センスP>が標準設定されているので、中古車狙いの方は可能であれば、衝突軽減ブレーキ標準装備以降がお薦めです。

また、モデル末期恒例の特別仕様車”J-FRONTIER Limited”にはペダルの踏み間違いによる事故を防ぐ<誤発進防止装置>が装備されています。

なかなか、出回ることのないモデルですが、ステアリングの本木目を、猟銃メーカーとコラボした美しい漆黒を表現するなど、“日本の黒”が内装に表現されており、とても綺麗な一台でした。

アスリート 値引き情報(2017年12月頃)

弊社では車両本体価格だけなら200,000円引き、付属品込みで350,000円引きというのが最大です。
ご参考にしていただけたら幸いです。

リセールは高値安定型。
5年以上、乗ってもそれなりに価値が残っているのもクラウンの良さ。
マイナーチェンジで、ついにToyota Safety Sense P(これまでのプリクラッシュセーフティシステムと違い、一定速度内で作動した場合、完全停止が可能なシステム)が標準装備。
スポット溶接の箇所を90箇所も増やし、乗り味もさらに良くなったクラウンアスリート、まだまだ、“買い”のモデルといえそうです。

あと、ヒュー・ジャックマンさんがCMで乗っていた空色ブルー(正式名称:天空)実車で見たらとても綺麗でした。
お写真、ご参照ください。

クラウンアスリートをご購入できる方にとっては、内装オプション(素晴らしい本革シート)も込みで302,400円、その価値はあると思います。
オーソドックスなホワイトやブラックもよく似合うお車ですので、カラーセレクションの悩める幸せ、是非しばらく味わってみてくださいませ。

 

スポンサーリンク



 

○関連記事

試乗されると・・・
しかし、飽きない最後の「クラウン」
ロイヤル
>>>こちら

 

15代目ターボのレビュー。
レベル高いです。試乗記は
>>>こちら

 

アスリート価格表
2.0アスリートT3,963,600円
2.0アスリートS-T4,584,600円
2.0アスリートG-T5,410,800円
2.5アスリート i-Four4,093,200円
2.5アスリートG i-Four5,545,800円
3.5アスリートS5,324,400円
3.5アスリートG6,183,000円
Hybridアスリート4,395,600円
HybridアスリートS5,032,800円
HybridアスリートG5,848,200円
HybridアスリートG Four6,064,200円

点数表(5点満点)○

 2000ccターボ2,500cc(4WD)3,500cc2,500ccハイブリッド
総合評価4.3点3.9点4点4点
リセール価値4.2点3.2点3.5点4.2点
故障のしにくさ5点5点5点
部品の安さ3点2.9点3点3点

○ アスリートG-T(2,000ccターボ)
全長×全幅×全高=4,895mm×1,800mm×1,450mm
ホイールベース=2,850mm
車両重量=1,630kg
エンジン=2,000cc直列4気筒DOHC直噴ターボ
最高出力=173kW(235ps)/5200-5800rpm
最大トルク=350Nm(35.7kg-m)/1,650-4,400rpm
トランスミッション=8 Super ECT
JC08モード燃費=13.4km/L
使用燃料=無鉛プレミアムガソリン
タイヤサイズ=前後215/55R17

 

○ アスリートG(3,500cc)
全長×全幅×全高= 4,895×1,800×1,450mm
ホイールベース=2,850mm
車重=1,650kg
エンジン= 3,500ccV型6気筒DOHC
最高出力= 232kW(315ps)/6,400rpm
最大トルク= 377Nm(38.4kg-m)/4,800rpm
トランスミッション=8 Super ECT
JC08モード燃費=9.6km/L
使用燃料=無鉛プレミアムガソリン

arukidapon:
Related Post