禁断の直6は幻に?
「販売台数の半数は3シリーズだが、利益の半分は5シリーズから出ている」と、BMW本国の重役が発言していました。
5シリーズも売れているんだよ、ということなんでしょうが、そう言われると余計に3シリーズ買ったほうがお買い得みたいな気がするのは庶民の証でしょうか・・・。
日本では3シリーズの陰に隠れている感、大アリの5シリーズ。
もともとサイズが大きいのに、モデルチェンジごとに巨大化は止まらないので、そりゃあお客さんは3シリーズに流れるはずです。
全長x全幅x全高(mm)=4,915×1,860×1,475
この5シリーズ(F10)で、ぎりぎり立体駐車場に押し込める車幅ですから、現行モデルは全幅1,868mmでは、もう入らないでしょう。
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気になるのは車幅だけではありません。
エンジンのダウンサイジングの流行によって“シルキーシックス”がどうなってしまうのか?
旧くからのBMWファンの方は気が気でないでしょう。
“シルキーシックス”とはBMWの直列6気筒エンジンが余りにも美しく奏でるサウンドや、直列では有り得ないレスポンスの良さに与えられた称号です。
これを味わってしまうと、どのエンジンの味わいも希薄に感じてしまうほどの禁断の6気筒。
しかし、それを葬り去ろうとBMW自身がしている、とも思えるマイナーチェンジを行なうから、ファンは心配になります・・・。
辛うじて「535i」には直列6気筒が残されていますが、「523i」の本体価格6,100,000円~(新車当時)と比較すると何と230万円も高い8,400,000円~(新車当時)ですから、そうなると中毒者かつお金持ち以外は他の車種あるいはメーカーに流れていってしまうのも無理はありません。
当時、新車のご案内もしていましたが、F10モデル末期時代からは、マイナーチェンジ前の直列6気筒の搭載された「523i」、あるいは「528i」を中古でご購入いただくのが得策でした。
モデル末期になってますます台数は落ち込んでいる中、日本で最もよく出ていたのは「523i」と「523d」。
直列4気筒エンジンの「523i」、決して悪いわけじゃないのです。
ツインターボとはいえ、直列4気筒2000ccでよくこれだけ走るなあ、と感心します。
振動も抑えられているし、馬力に不足を感じることはほとんどないでしょう。
しかし、これは「BMW」。
価格も6,120,000円~(新車当時)となると、ユーザーの期待値も違うでしょう。
2000ccにしては・・・なんて言葉を付け足さなければいけないのは寂しいかぎりです。
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F10 ディーゼルの走りは?
523dはディーゼルとは思えないほど、静かな車内です。
遮音が徹底しています。
ただし、震えはあります。
音は聞こえないけれども(聞こえないから余計に?)ディーゼル特有の震えがシートに伝わってきます。
走り自体に不満はありません。
「523i」とは比べ物にならないほどのトルクフルな走り。
高速道路に乗ってしまえば、ディーゼルのネガも消え、すこぶる快適です。
ワインディングロード上だけは「523i」のほうが吹き上がりが良い分、面白いかもしれません。
一番、気になったのは先述の通り、エンジンの振動。
6,330,000円~(新車当時)で、あれだけシートに震えられると3,175,200円~手に入れることができるマツダ「アテンザ」の後塵を拝することになりかねません。
それほどマツダのディーゼル技術は格別で、他メーカーにとって驚異だと思います。
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「高速道路でも物足りない?」です。
高速道路でも物足りない?
乗り心地は結構、硬めで、市街地ではビジネスサルーンとは思えないほどコツコツ凹凸を拾い続けます。
腐っても鯛、ならぬBMWなのでドライバーは楽しいけど・・・これは助手席大変だなあ、というのが正直なところ。
ただ、低速での、硬い、柔らかいは現在、主にどんな車に乗っているかで感じ方は相当に異なりますので、これまでBMWばかり乗り継いできた方なら決して硬いとはお感じにならないでしょう。
メルセデスベンツ「Eクラス」と比較すると硬く、BMW「3シリーズ」と比較すると柔らかいです。
高速道路は、最高の時間です。
そのひとときの為に他を犠牲にできるほど、素晴らしい。
どんどん遠くに行きたい。そんな商品です。
70km/h~80km/hを超えたあたりからの車体が安定する感覚は、毎回、心躍ります。
高速道路中心の移動が多い方には、いまだに新車価格相応の価値があると思っていただいて構いません。
洗練された<アクティブステアリング>も見逃せないポイントです。
先代E60から搭載されたアクティブステアリング、ギア比に応じて切れる角度を変えるのですが、何と高速では後輪も前輪と同じ方向に切れ、低速では逆方向に切れてくれるので急カーブなんかもスムースに曲がれてしまいます。
高速道路の車線変更なんか恐ろしく安定していて笑ってしまうほど。
逆に低速で後退駐車するときはハンドル1回転以内で、ほとんどどこでも停められてしまいます。
E60のときは、不自然な挙動も多かったアクティブステアンリング、F10では見事に熟成されていました。
おかげで、よほど狭い道に入らない限り、車幅1,860mmは気になさる必要はないでしょう。
欧州勢の不正問題の煽りや、2018年韓国での発火問題があり、ブランド力にやや翳りのあるBMWですが、F10の前期モデルは魅力的です。
このF10の外観はE60(ヘッドランプがサイドビューに向かって吊り上がっていたデザイン)から一転、オーソドックス。
長い間、愛せるデザインだと思います。
中古車購入ご検討の方へ
中古車市場ではかなり価格がこなれているように感じますが、F10は新車時、驚異の20%OFFで捌かれていた商品です。
つまり、それだけ元々のプライスタグに問題があったのでしょう。
ご購入の際は、少々、高くても認定中古車を。
指定エンジンオイル、定期的なエンジンマウントの交換など、BMWはメンテナンスを怠ると重大な故障直結です。
履歴のきちんとした商品をお選びくださいませ。
goo-netやカーセンサーでご購入予定の方は定期点検記録簿がある個体を選びましょう。
以下に新車当時の価格表及び諸元表もございます。
よかったらご覧ください。
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現行型 G30試乗記 |
>>>BMW/G30「523i」 |
>>>BMW/G30「523d」 |
>>> BMW/G30「540i」 |
○「F10/5シリーズ」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫
価格対評価 | 普通 |
運転楽しい度 | 良い |
後席居住性 | 良い |
リセール価値 | 非常に悪い |
故障のしにくさ | 非常に悪い |
部品の安さ | 悪い |
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523i 諸元表 上段(2010年発売当初)、下段(2016年モデル) |
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---|---|
全長x全幅x全高 | 4,915mmx1,860mmx1,475mm |
エンジン | 2,496cc直列6気筒DOHC |
1,997cc直列4気筒DOHCターボ | |
ホイールベース | 2,970mm |
車両重量 | 1,770kg |
1,750kg | |
最高出力 | 204ps(150kw)/6300r.p.m |
184ps〔135kw〕/5,000r.p.m | |
最大トルク | 25.5kg・m(250N・m)/3000rpm |
27.5kg・m(270N・m)/4500rpm | |
トランスミッション | フロア8AT |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
JC08モード | 11.2km/L |
14.2km/L | |
最小回転半径 | 5.5m |
523d ディーゼルターボ諸元表(2016年モデル) |
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---|---|
全長x全幅x全高 | 4,915mmx1,860mmx1,475mm |
エンジン | 1,995cc直列4気筒DOHCターボディーゼル |
ホイールベース | 2,970mm |
車両重量 | 1,760kg |
最高出力 | 184ps(135kw)/4000rpm |
最大トルク | 38.7kg・m(380N・m)/1750-2750rpm |
トランスミッション | フロア8AT |
使用燃料 | 軽油 |
JC08モード | 16.6km/L |
最小回転半径 | 5.5m |
価格表 |
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523i Mスポーツ | 6,980,000円 |
523i ラグジュアリー | 7,060,000円 |
523d Mスポーツ | 7,210,000円 |
523i ラグジュアリー | 7,290,000円 |
535i ラグジュアリー | 9,390,000円 |
535i Mスポーツ | 9,660,000円 |
アクティブハリブリッド ラグジュアリー | 9,440,000円 |
アクティブハリブリッドMスポーツ | 9,680,000円 |
550i ラグジュアリー | 11,330,000円 |
550i Mスポーツ | 11,630,000円 |
※535i、及びアクティブハイブリッドは直列6気筒2979ccターボ
※550iは、V型8気筒4394cc
【参考】2010年発売時の523i(直列6気筒2496cc)ハイラインパッケージは6,490,000円でした。