「クラウン」ロイヤル/アスリート 13代目 200系 2008-2012年

キープコンセプトで叩かれるクラウン

世間を驚かせた「ゼロクラウン」から約4年が経過した2008年、予定通りフルモデルチェンジをした200系。

僕は東京モーターショーのコンセプトモデルを見たのが最初でしたが、あまりのキープコンセプトに驚いたのを覚えています。

フロントマスクが弓状になって、ヘッドライトもそれに合わせて斜め上に吊り上ったような形状に変更されてはいました。
しかし、クラウンをよく知る人が分かる程度。
車好きではない方が、「ゼロクラウン」との違いを分かることはまずないでしょう。

実際、トヨタ広報も「今回のモデルチェンジは内面を大胆にチェンジしています!」と、外面のそのままぶりを認めたコメントをしていました。

それでも、何度かブースに足を運んで周囲をぐるぐる回っていると細かい変更点が、そこここに見受けられて、
「ゼロクラウンほどじゃないけど、いちおう売れ筋ではいてくれるかな」
と自分を納得させていたものです。

しかし、結果、いまいちでした。“いまに”という表現があれば、そちらを使いたいくらいです。

惨敗とまではいきませんが、ゼロクラウン時の2割~売り上げは悪かったです。

 



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理由の一つに、ゼロクラウンでの買い替えが多かったので「まだゼロクラウンに乗るよ」というお客様が多かったというのがあります。
ただ、それだけではありませんでした。

2005年、日本レクサスの誕生です。

・値引きしない
・頼んでも家に来てくれない
・ディーラー入りづらい

などなど、不満もたくさん聞かれたレクサスですが、やはり商品力はありました。

特にクラウンのライバルとなったのは「GS」「IS」
余談ですが、なぜ、クラウンに190系がないのかというと、じつは、この時代のGSこそ型式190系なのです。

レクサスはブランドも同時に販売しているので、僕たちのような整備工場なのか販売店なのか分からない店舗ではお客様に買っていただけません。

特に「IS」の登場は200系クラウンをメインに扱うすべて店舗には少なからず打撃があったのではないでしょうか。

後部座席の居住性以外、「IS」に勝っている点がなかなか見つからなかったものです。

隣の芝生は・・・、ではないでしょうが、あちらのほうが恰好よく見えますし。

 

これは欲しい!
200系の珍しいオプションについては
>>>こちら

 

ちなみに僕が指摘していた初代「IS」の欠点はボンネットの先が下がっているので、車幅がクラウンよりも掴みづらいことでした。
これのおかげで、おそらく2名のお客様が「クラウン」に翻意してくれたと今でも信じたいですが・・・実際のところ、おそらく値引きでしょう。

200系クラウン。車自体は決して悪くはなかった

「ゼロクラウン」に較べて特に2,500ccモデルの静粛性は上がりましたし、ガソリンもレギュラー仕様に変更。

また、2,500ccエンジンはロイヤルとアスリート、全く同じ最高出力・最大トルクに設定してありました。

カタログ上のパワーこそ「ゼロクラウン」よりも多少、控えめになったものの体感としてはほぼ同じです。4年後のクラウンとしては納得の進化でしたが、如何せん先代「ゼロクラウン」が先々代の170系「クラウン」から変貌しすぎたので、みなさん、どうしてもそれを期待してしまう・・・。

当然、売れ行きが伸びない。

おそらく、3,000ccモデルこそクラウンの上級仕様だと認識してくださったお客様に2,500ccモデルとのアドバンテージを明示できなかったのも伸び悩んだ理由でしょう。

2,500ccモデルが以前の3,000ccモデルに肉薄するレベルに成長したのに、3,000ccモデルは以前との違いは余り見受けられませんでした。

我々販売員は懸命に2,500ccを薦めましたが、やはり数字の妙はお客様を悩ませます。
そして、実際、乗り比べると大差ない。
「訳がわからなくなってきた。IS買うよ。ごめんね」
と、お客様が帰ってしまった後は意気消沈したものです。

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「驚くべきハンドリングの変化!」です。

驚くべきハンドリングの変化!

実は、ハンドリングには大きな変化があったのです。

この200系、おそらくクラウン史上最も手ごたえのないハンドルなのではないでしょうか?

正に電子制御!といった雰囲気がまざまざと手に伝わってきます(と、いうか、きません)。
「おいおい!これ、道路ちゃんと噛んでんの?」
と、試乗されたお客様が慌てたのも、ご無理はないかと思います。

ハンドルを回転しても重さがほとんど変わらないのは、かつて“重ステ”(名の通り、80年代まではハンドルを回すのは力仕事だったのです)を運転なさっていた方には最初、違和感しかありません。

ただ、人は慣れるもので登場から10年以上経過すると、これも普通。

僕を含め、電子制御のハンドルに慣れたみなさん、何の違和感もなく運転できてしまいます。
しかし特にロイヤルのハンドルが軽いのは事実ですので、中古車選びの際、留意してくださいませ。

 



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アスリートは多少の重さが感じられ、サスペンションも硬めに引き締められています。

それでも先代ゼロクラウンよりは、かなりマイルド

特に3,500ccモデルはどちらかというと、ゆったり走るよう再セッティングされた模様です。
この200系アスリートの調律がクラウンユーザーが求めるアスリートの形なのでしょう。
そういう味付けは210系「クラウンアスリート」にも引き継がれています。

フロントマスクも恰好よく、内装もアスリートには黒の木目調デザイン(下の画像をご参照ください)の設定があり、中古車市場でも大変人気です。

逆に街中でゆっくり走るのが中心の方、内装の質感はあまり気にしないよ、という方は値下がり率の高いロイヤルはお買い得だと思います。

王冠のロゴマークが縦長に、そして内装にもそこここに配置されている200系。
内装のコストダウンに目を瞑れば、走りは少し先の未来を見ていたような気がします。
当時は時代が付いていっていなかった珍しいクラウンでした。

2,500ccロイヤル/アスリートにはOP設定がなかったプリクラッシュセーフティ

近年、衝突軽減ブレーキの進歩が凄まじく、メディアでも取りざたされているので、旧システムでも、とりあえず<プリクラッシュセーフティシステム>のオプションが付いているものをお探しの方が多くなっています。

しかし、グーネットやカーセンサーでは200系「クラウン ロイヤル/アスリート」の2,500ccモデルで検索しても誤登録された商品しかヒットしません。

そうなんです。
なんと、3,000ccロイヤルと3,500ccアスリートにしかオプション設定がなかったのです。

新車時も、中古車市場でも売れ筋は、共に2,500ccモデル。
なぜ、トヨタがこういう意味不明の設定を取り入れていたのか、謎です。

ちなみに旧システムとはいえ、追突警報+軽減ブレーキは付いており、いざというとき頼りになるのでお薦めです。

次世代の<トヨタ・セーフティ・センス>との決定的な違いは、完全に停止してくれるスピード域が非常に狭いこと(時速15km~30km前後なら停止してくれるようです)。

あとは自転車認識はもちろん、昼間でも歩行者検知能力は全くないこと、でしょうか。

下に当時の価格表および諸元表もございますので、よかったらご覧ください。

 

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後席を使わない方には
レクサス初代「IS250」もお薦め
>>>こちら

同じ200系でもこんなに違う?
孤高の「クラウンハイブリッド」試乗記は
>>>こちら

エンジン選びで一苦労?
210系「クラウン・アスリート」試乗記は
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ゼロと呼ばれた
180系「クラウン・ロイヤル/アスリート」試乗記は
>>>こちら


 ロイヤル2,500ccアスリート2,500cc
総合評価4.0点4.0点
リセール価値3.8点4.0点
故障のしにくさ5点5点
部品の安さ3点3点

ロイヤル/アスリート 価格表
2,500cc ロイヤルサルーン スペシャルパッケージ3,450,000円
2,500cc ロイヤルサルーン スペシャルナビパッケージ3,950,000円
2,500cc ロイヤルサルーン i-Four スペシャルナビパッケージ 4WD4,240,000円
2,500cc ロイヤルサルーン4,150,000円
3,000cc ロイヤルサルーン4,580,000円
3,000cc ロイヤルサルーンG5,200,000円
2,500cc アスリート スペシャルパッケージ3,550,000円
2,500cc アスリート スペシャルナビパッケージ4,050,000円
2,500cc アスリート i-Four スペシャルナビパッケージ 4WD4,280,000円
2,500cc アスリート4,250,000円
3,500cc アスリート4,870,000円
3,500cc アスリートG5,590,000円

ロイヤル(2,499cc 2WD)主要諸元表
全長4,870mm
全幅1,795mm
全高1,470mm
ホイールベース2,850mm
エンジン種類V型6気筒DOHC
トランスミッション6 Super ECT
総排気量2,499cc
エンジン最高出力149kW[203PS]/6,400r.p.m
エンジン最大トルク243N.m(24,8kgf-m)/4,800r.p.m
車両重量1,590kg~1,600kg
乗車定員5名
最小回転半径5.2m
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
10.15モード12.4km/L
arukidapon:
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