「クラウン」ロイヤル 14代目 210系 2012年-2018年

試乗では悪評しか得ない珍車

「クラウン」という車は所有してみないと良さが全く分からない車だと思います。
つまり、自動車評論家の下した結論は悪いわけで・・・。

だいたい、彼らは「速く走り、思いのままに曲がり、よく止まる」という基準のみで採点しているのか?という記事が多すぎます。
おっしゃる通り、「クラウン」には、その三大要素は“やや”欠けているかも知れません。

デザインも、特に2012年12月後半から出た220系はなんでしょうか?
初めてリーク画像を見たときは冗談かと思いました。

それが、まさかの‘そのまま’で登場。

これが数年経つとすっかり慣れるから不思議です。
でも、シングルフレームグリルは10年以上前にアウディがやり始めたような気がします。
真似、とまでは言わないけれども独自性でいうと200系「クラウン」のほうがトヨタらしくて個人的に好きでした。

とくに自動車評論家の岡崎五朗さんは、テレビ番組内で、はっきり「このデザイン、賛否で言うと僕は“否”ですね」とおっしゃっていたのは印象に残っています。

まあ、彼は先代200系「クラウン」ハイブリッドも2,500ccエンジンではなく、3,500ccエンジンを積んだという点を酷評し、最低の評価を下していたので、クラウンが嫌いなだけかも知れません。

 



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では、なぜあれだけの販売台数を誇っているのでしょうか?

今回はロイヤルについて、です。

210系「アスリート」については>>>こちら
210系「アスリート」ターボについては>>>こちら

新車価格は2,500ccのガソリンで4,093,200円~、ハイブリッドだと4,395,600円~、もしました。

ウチで、よく売れたハイブリッドGはなんと5,772,600円!!
このへんになると海外勢で魅力的な車はたくさん出てくる価格帯です。

でも、「クラウン」をご購入なさる方は迷いなくクラウンを選びます。

ウチは正規ディーラーではありませんが「クラウン」あたりの人気者は試乗車をご用意しているのに乗らないでご購入する方、多いです。

・どこに乗りつけても誰も文句言わない。
・控えめ、かつ成功者の仲間である、という絶妙なポジションをアピールできる。
・ブランド力がある。伝統がある。リセール価値高い。

クラウンには、そんなイメージがあるかも知れません。

しかし、実際、購入されたお客様の話しを伺っていると、
「この乗り心地じゃないとダメなんだ」とか「ハンドルを握っていると安心する」と、
いう声が多いのに驚きます。

いやいや。
試乗している限り、少なくとも一日中、乗り回した経験が何度もある僕は、
「こんなフニャフニャの車を、いい車だって?」
と思っていました。

お金があっても要らない車の上位に永らくランクインしていました。

その考えを改めたのは、社用車の買い替えの為、1ケ月ほどずっと付き合ったときでした。

もちろん、最初は思いました。
「ああ。退屈だ」、と。

初めて乗る車って、ちょっと期待しませんか?
走りはどうだろう?ハンドリングは?…etc.

ところが、‘いなす’ばかりで応えてくれないんです、クラウン。

馬力不足だとかいうつもりはないです。
ハンドルもロイヤルは、いまどきにしてはアンダーステア気味のセッティングとはいえ、きっちり曲がります。

しかし、はっきり言って面白くない、ちょっと高級な、普通な車。
・・・そして、何となく1ヶ月が過ぎ、また他の車に乗る日がきました。
運転していて、多少以上、楽しい車のはず。
それが、なぜだか何か落ち着かない。

ようやく気が付いたのです。
「クラウンは落ち着く」と。

それだけでは、ただの抽象的な表現で終わってしまいますので、以下、自分なりの見解です。

おそらく、「クラウン」は“少し疲れていることを想定”しているのではないでしょうか?
仕事での往復や、家族サービスの帰り道など、疲れて運転する時間は意外に多いもの。

ドライビングの喜びを味わいたくて乗る時間は僕たちにはほとんどないのが実情です。

 



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疲れていても安心してハンドルを握ることができる。

そのための緩やかな加速、少しのアンダーステア、わずかな遊びを入れたブレーキング、中低速を最も快適に走れるセッティング。

ドライバーを、これ以上、疲れさせないための術を知り尽くしているのではないでしょうか?

「1000km、走っても疲れなかった」。
外国車に対しての、そんなレポート、よく読みますよね。
あの質の高さとは違うものです。

疲れていても、安心して運転できるんです。
それ以上、疲れることがない配慮です。

車が「そのハンドリングでいいんですよ、すばらしい。こんなに真っ直ぐに走ってるではありませんか、私」と言ってくれているような感じ。

何かよく分からないままに家路についている。
「ああ。家族に会える」と、車のことを忘れて安心して眠りに就くことができる、そんな車。

そして、知らぬ間に自信を与えてくれる車、それがクラウンなんだと思います。
もっと日本の車を応援したらいいのに、とメディアに言いたいです。

次ページは>>>「ハイブリッドとガソリン、迷った場合は?」です。

ハイブリッドとガソリン、迷った場合は?

ただ、もし迷っておられるならガソリンモデルもご検討してみたください。

ガソリンモデルの「クラウン」らしさもまた、特別です。
NAエンジンの「クラウン」はもう、永遠に発売されないかも知れませんし・・・。

 



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ちなみにロイヤルには2,500ccのガソリンモデルのみ設定されていました。

ハイブリッドも同じ2,500ccと表記されていますが、エンジン自体は別物です。

ハイブリッドは直列4気筒+モーターに対して、ガソリンモデルは「ゼロクラウン」時代からのV型6気筒。

あれから随分、年月が経ち熟成を極めたエンジンです。
静粛性は高く、低速からのトルクも充分です。

デメリットを挙げると、アイドリングストップが設定されなかった点。

そして、JC08モード11.4km/L、という数字でしょう。
実燃費は街乗りで7~8kmです。

当時から、15代目220系「クラウン」ロイヤルはすべてハイブリッド化してしまうかも知れないという懸念を抱いていましたが、普通に現実となりました。
と、いうか‘ロイヤル’というネーミング自体、この14代目で終了しました。

V6自然吸気のガソリン車、乗り心地なら、ハイブリッドを凌ぐでしょう。

なぜなら、14代目210系に搭載されたTHS-Ⅱ(トヨタ・ハイブリッド・システムⅡ)は、モーター~エンジンの切り替え頻度が200系「クラウン」ハイブリッド220系「クラウン」ハイブリッドに較べて最も高いからです。

レクサス「LS」のように燃費を犠牲にして大きなエンジンを積み、モーターをサポート役に回す設定もできたのでしょうが、210系「クラウン」ハイブリッドは明確な燃費向上は開発当初からの至上命令でした。

そのため、できる限りモーターで走らせ、電池切れを起こしそうになると、エンジンが点火する、という設定にしています。
ハイブリッド専用の直4エンジンが‘やや’非力だというのも少し問題があったかも知れません。

静粛性の高さに期待して乗り込むとモーター~エンジンの切り替えが車内に伝わってきてしまう難点がハイブリッドにはあります。

とはいえ、総合力は高く、実燃費も17~18km/L。
燃費だけなら次世代の220系に負けていません。

ガソリンモデルの、踏めば踏んだだけ回転が上がり、速度も上がるという素直なフィーリング、非常に高いレベルで仕上がっていると思います。

いずれにせよ「これにして良かった」と満足させる商品力が「クラウン」ロイヤルにはありました。

 

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○関連記事ご紹介

アスリートの試乗記は>>>こちら

同じV6を積んだ最後の「マークX」レポートは>>>こちら

220系「ロイヤル」に該当する‘S’試乗記は>>>こちら

 

ロイヤル価格表
2.5ロイヤル3,812,400円
2.5ロイヤルサルーン4,476,600円
2.5 ロイヤルサルーンG5,221,800円
2.5 ロイヤルサルーンG i-Four5,459,400円
Hybrid ロイヤル4,395,600円
Hybrid ロイヤルサルーン5,022,000円
Hybrid ロイヤルサルーンG5,772,600円
Hybrid ロイヤルサルーンG Four5,988,600円

点数表(5点満点)○

 ガソリンモデルハイブリッドモデル
総合評価4.5点4.2点
リセール価値3.5点4点
故障のしにくさ5点5点
部品の安さ3点3点

JC08モード:11.4km/L(ロイヤル2.5Lガソリン)
JC08モード:23,2km/L(ロイヤル2.5Lハイブリッド)
共にレギュラーガソリン
全長4,895mm、全幅1,800mm、全高1,460mm


arukidapon:
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