「クラウン/ロイヤル」 11代目 170系 1999年-2003年

有終の美

<21世紀へ、このクラウンで行く>の、クラウンです。世紀の節目だというコピーを使っていながら、新技術搭載車ではなく、むしろ熟成を極めたのが、この11代目170系です。

180系「ゼロクラウン」からは、その後、15年使われることになるプラットフォームが開発され、いわゆる“ふんわりクラウン”はこの代で見納めとなります。

個人的に昭和のクラウンが追い求めていた究極が、この11代目170系ではないかと絶賛中の為、入庫するたびに、お客様にベタ褒めして薦めてしまいます。

そして、170系だけいつも在庫がなくなるという珍事・・・。

社長も「なんでだろうなあ。スカイラインも良い車(←根っからのスカイライン好き)なんだけどなあ」と、不満を漏らしたりしていますが、まあ、在庫が捌けるのは喜ばしいので、ここだけの話にして(笑)。

まず、素晴らしいのは、内装。

代々クラウンから受け継がれてきた使いやすさと、品質の良さには脱帽です。

もう、20年近くになろうという個体でもスイッチ類のバネのヘタリは見たことないですし、たとえばCD挿入口の蓋やコンソールボックスの、ゆっくり開閉する様は当時のまま。
このあたり、やはりお金を掛けていたのだなあ、と感心するばかりです。

6連奏CDチェンジャー+7スピーカーの品質も高いです。

今やCDを車内に持ち込む必要もない時代ですから6連奏は時代の産物としても、真髄はそのスピーカーです。

140系「クラウン」150系「クラウン」、そして170系のスピーカーは本当にいいです。

すみません、130系以前は分からないので、悪いというわけじゃないです・・・。
180系「ゼロクラウン」と200系「クラウン」は、メーカーが変わったのでしょうか?
少しだけ音が軽くなっていたような気がします。

その反省からか210系「クラウン」220系「クラウン」は音質はまた戻ってきています。

この170系、外観も、時代に流されないトヨタらしい雰囲気があると思います。
誰かの真似をした、というわけではないのがいい。

スポーティに路線変更してゆく前の、最後の気品が醸しだされている気がするのは僕だけでしょうか(たぶん・・・)。

走りは、おそらくみなさんのご想像どおりの味わいです。

ふんわり。
アンダーステア。
限界速度、低めの車体。

しかし、僕が絶賛するのは、限界速度が100km/hに引き上げられていることです。
つまり、100km/hまでは非常に安定し、静粛性も高いわけです。

燃料を直接筒内に噴射するシステムが功を奏したのでしょうか、振動は150系以前より明らかに少ないです。

最小回転半径5.2m。
ようやくストレスなくUターンできるように大幅に改善されています。

 



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減点ポイントは、発進時のアクセルワークが難しいこと。

普通に踏むと、ドンっ!と出ることがあるのです。
最初だけ、そろっと踏むコツが求められます。

パワーがあるっぽい演出が、必要な車ではないのに・・・。
唯一、残念な点です。

次ページは>>> 「当時は変化球だったマイルドハイブリッド」



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マイルドハイブリッドという先見の明

数は少ないですが、マイルドハイブリッドという異端児を設定していたのも、この170系。

2001年8月~2003年11月の2年余りのみの製造でした。

アイドリングストップ用だけの36Vバッテリーを積んでいて、アイドリングストップからの再始動の振動は2018年現在、フルハイブリッド車以外の、いかなる車よりも少ないです。

これは・・・凄いです。

しかし、そのスムースな再始動を味わう為だけのバッテリー、動力アシストは初動1mあるかないかという代物でした。

もし、ご購入検討される場合は必ず、36Vバッテリーを一度は交換しているか確認をお願いいたします。

寿命は7,8年~10年。

交換した形跡がなければ、値引きよりも「36Vバッテリー無償交換してくれたら買う」と、おっしゃってみてください。

ちなみに、有償ですと、価格は何と50,000円也。

おそらく純正しか手に入らないので、どこでも、お値段は同じだと思います。
それ以外の維持費はノーマル3,000ccと変わりません。
上記画像はマイルドハイブリッドのメーターです。

ガソリン単体モデルを狙うのであれば、2,500ccと3,000ccのトルクの差は、はっきり感じますので、できれば3,000ccを。

直列エンジンは、静粛性ではV型エンジンより有利ですが、燃費面で不利とされているので、今後、発売される車にはなかなか搭載されないでしょう。

ご参考までに実燃費は、というと街中7km/L、郊外9km/L、高速12km/Lです。

2,500ccと3,000ccの燃費の差はほとんどありません。

 

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諸々、書いて参りましたが、結局、日本の道は、これでいいんじゃないのか?今、安いし。

というのが、僕の持論です。
中古車価格も“こなれる”を通り越して、持ってけ泥棒価格を提示しているお店も少なくないのではないでしょうか?

たいへん、オススメです。

実は、薄いグリーンも設定されていた170系。
「お爺さんのような」と揶揄され続けた“ツートーン”も、これで最後でした。

2018年発売「クラウン」の最高峰
Gエグゼクティブの試乗記は>>>こちら

 

1999年当時の新車価格表
ロイヤルエクストラ2500cc3,120,000円
ロイヤルサルーン2,500cc3,400,000円
ロイヤルサルーン3,000cc3,820,000円
ロイヤルサルーンG 3,000cc4,320,000円
マイルドハイブリッド3,970,000円
マイルドハイブリッドU-package4,420,000円

○170系「クラウン」ロイヤル/アスリート評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

総合評価 非常に良い
運転楽しい度 普通
後席居住性 非常に良い
リセール価値 ※※※
故障のしにくさ 非常に良い
部品の安さ 良い

 

主なスペック○
エンジン:水冷直列6気筒DOHC(筒内直接燃料噴射装置D-4搭載) 2,500cc・3,000cc
最高出力(ネット値):162kW(220PS)/5,600r.p.m(3,000cc)
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
タンク容量:70L
10.15モード:11.6km/L(2,500cc)、11.4km/L(3,000cc)
13.0km/L(3,000ccマイルドハイブリッド)
全長4,820mm 全幅1,765mm 全高1,455~1,465mm

arukidapon:
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