先代センチュリー試乗記
※新型センチュリー情報は最後に記載してあります。
前身にクラウンエイト(内閣総理大臣“佐藤栄作”の公用車)を持つ「センチュリー」。
満を持して1967年に登場して初代は何と30年もフルモデルチェンジされなかった異例の車です。
1997年~の2代目も小変更は多々あったものの、2017年まで、現役を務めました。
しかし、官公庁が燃費の悪い車を使用していると、色々、批判もありますので(JC08モードで7.6km/h)LSハイブリッドやアルファードへの買い替えが進むのは時代の流れでしょうか。
安倍晋三・第96代内閣総理大臣も「センチュリー」からレクサス「LS600h」に乗る機会が増えたそうです。
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結局、2代目は継続が危ぶまれたまま、静かに生産が続いていた晩年でした。
ちなみに最終月は月販台数、たった1台だったようです。
不思議に思うのはトヨタだというだけで、批判している雑誌やネット記事でも、こと「センチュリー」に関しては一目を置くような発言が目立ったことです。
『唯一無二の12気筒エンジン。精緻な作りこみは他の追随を許さない』のような表現、どこかでご覧になった方も多いでしょう。
たしかに「センチュリー」はエンジンを職人が手作業で組み上げる、という途方もない労力と技の結晶です。
レクサス「LS」ですら機械での組み立てがメインですから、いかにトヨタが「センチュリー」を特別扱いしているのか分かろうというものです。
ロゴも然り。
あの複雑な鳳凰を七宝焼きにするのは至難の業とか。
期待を胸にシートに腰掛けてみると、その古臭さに驚愕すること請け合いです。
ナビ画面の小ささも驚くばかりだし、エンジンも普通に鍵穴に挿すタイプです・・・。
とにかく、昭和の香りが半端ではありません。
ただ、ハンドルの触り心地は、やけにしっとりしていて、どの車より良いですが。
座って古くても、走らせてみたら違うかと、申しますと、正直、そこまでの感動もないです。
この鈍重な感じ・・・。
期待しすぎだったんでしょうか?
エンジンは静かですが、30系「セルシオ」のほうが静かです。
パワーに不足はないとはいえ、どんなアクセルワークをしてもそれなりの加速しかしません。
「わたくし、常に本気の7割しか力出しませんので」と言われているような、もどかしさがあります。
まあ、そういう車ですので仕方のない部分はあります。
>>>次ページは
「それでも買い替えたくはならない魅力」です。
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言葉とは裏腹に
年々、設計の古さが気になり始めたにもかかわらず、12,538,286円というプライスタグ・・・。
トヨタの最高峰にして<トヨタセーフティセンスP>の設定もされないのは残念でした。
よく比較されるLS(~2017年モデル)との価格比較をしてみます。
LS460L EXECUTIVE package (5人乗り) | 11,634,000円(税込) |
センチュリー(モノグレード) | 12,538,286円(税込) |
LS600hL EXECUTIVE package | 15,954,000円(税込) |
LSより3,000,000円安いという記事をよく見かけますが、それは飽くまでもLSハイブリッドの最上級グレードと較べての話です。
決してLSより安価に設定された価格ではないことが上記から見て取れます。
ちなみに、諸々審査があって、誰でも買えるというわけではないのが「センチュリー」。
けれども、弊社に整備で入ってくる中に明らかに、そういう方のセンチュリーがあります。新車で購入したのは知っているので、色々、抜け道はあるのでしょう。
単純に名義人が奥様だったりするので、案外、簡単なのかも知れません。
購入時は、割引しないレクサスに対して、センチュリーは300,000円程度の値引きをしていました。
リセールに関しては「LS」のほうが格段にいいです。
「LS」の中古で良さそうなのが入ったら電話してほしい、とか、探してきてほしい、というお話はたくさんいただきます。
が。「センチュリー」を探してほしいという、ご依頼はここ10年で1回いただいたのみです。
レクサス「LS」の実に1/10にも満たないの不人気ぶりです。
3年30,000km乗ったら、半額か、それ以下の5,000,000円程度にまで買取価格を下げていました。
でも、それを気に掛ける必要はないかもしれません。
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買い替えようとは思わない
「LS」との最大の違いは“買い替えたくならない”ことでしょうか。
「LS」はフルモデルチェンジ後のモデルを目の前にしたら、きっと新しいほうが欲しくなるでしょう。
けれども「センチュリー」にはアナログラジオから響く音楽のような落ち着きがあるのです。
何とも言えません。
それは他のどの車にもない不思議な感覚です。
こんな抽象的な終わり方ではいけないので、幾つかセンチュリーこそが一番だと思う点を挙げてみます。
・色あせないデザイン
重厚感があり、驕り高ぶる素振りも見せず、かつ飽きの来ないデザインは、いつの時代でもオーナーに優越感を覚えさせるのでは?
・他に類を見ないハンドルのしっとり感
決してベタつかず、しっとりした触り心地が続く魔法のハンドルでした。僕の中で一番です。
・極上のブレーキフィーリング
『センチュリーって何がいいの?』と聞かれて、一つ答えるなら、間違いなくブレーキフィーリングを挙げます。
同乗者に気を使って、静かに止まりたいときに「センチュリー」なら、いつもいつも雲の上に着いたかのように止まれます。
これはレクサス「LS」やベンツ「Sクラス」を凌駕するフィーリングだと思います。
ついに次期センチュリー発売決定!
2017年暮れに、ついに新型センチュリーが導入されることが決まりました。
パワートレインは5,000ccV8+モーターのハイブリッドだと言われています。
レクサスの新型「LS500h」が3,500ccV6+モーターですので、やはり「センチュリー」は別格ということなのでしょう。
また、コンセプトカーではフロント・リアのドアが「ロールスロイス」のような観音開きになっていたので、市販車両がどうなるのか注目されます。
「ロールスロイス」が傘を用意するなら、日本の「センチュリー」は、リアドアが開くと庇のようなものが同時に出てくる仕掛けが検討されたとか?
さて、実際はどうなるのでしょうか。
価格は~20,000,000円と言われています。
続報が入り次第、またお知らせいたします。
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○点数表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫
価格対評価 | 非常に良い |
運転楽しい度 | 普通 |
後席居住性 | 非常に良い |
リセール価値 | 非常に悪い |
故障のしにくさ | 非常に良い |
部品の安さ | 非常に悪い |
○主な諸元表○
エンジン:V型12気筒 DOHC 4,996cc
最高出力(ネット値):206kW(280PS)/5,200r.p.m
トランスミッション:<6 Super ECT >
タンク容量:95L
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
JC08モード:7.6km/L
全長5,270mm 全幅1,890mm 全高1,475mm
2017年1月販売終了時の価格:12,538,286円(モノグレード)