“美しさ”の最低条件。何者にも似ていない
「LC」の、Lは“Luxury”の頭文字だそうです。
Cは、“Coupe”。“F”のようなスパルタンな走りを追求した商品ではありません。
「高速道路をゆったり、流すだけで至福に浸れるんじゃない?」そう、お金持ちの方々が判断すれば買ってくれる商品です。
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高級車の場合、特に“見た目”は、重要です。
「外観はゴテゴテですが・・・でも、サーキットを走ったら何秒ですから・・・」というのは言い訳になりません。
かつてのレクサス「SC」2005-2010年(旧ソアラ)4,300ccも同じ位置づけでした。
ただし、「LC」は5,000ccエンジンバージョンも、3,500ccハイブリッドバージョンも、その「SC」の6,800,000円(2005年発売当初)の2倍の価格設定。
画像で見たときは正直、「プリウスに似たヘッドランプだな。これは好き嫌い別れそうだから、入荷する必要はないかな」と思い、報告書にもその旨、記載しました。
それも実車を見るまでの話。
たしかに写真で見た“あの車”ではありますが、実物は恐ろしく艶やかな輝きを放っています。
オーラというのは、これのことでしょう。
「美しい・・・」
昔のマクロス(アニメーション作品)で、ミリアと名乗る女性を初めて見たときに、つい口をついて出たマックスの言葉もそうだったな、と思い出しました。
それしか、言葉として出ないのです。
しかし、どこから見ても美しい車というのは、そうそうあるものではありません。
“美しい”という概念は「何々に似ている」と脳が判断すれば、興奮度はやや下がるものと思われます。
それほど、独創性に溢れたデザインだということでしょう。
リアの眺めも、また格別です。
フェンダーの大きな膨らみは、空力に配慮したものだそうですが、この「LC」の印象を特徴づけるアイコンにもなっています。
そして、リアランプは擦りガラスのような和のテイスト。
小糸工業の珠玉の逸品です。
ブレーキランプを踏めば“おなじみのL”型のブレーキランプが燈ります。
せめて、いつか「LC」の後ろを走りたい。
そう思わされました。
前後ランプに“一筋の雫”のようなイメージを置いたことで、全体に一貫性も出ています。
フロントランプを間近で見ると、複雑な工業用品が細工されているかのようなデザイン。
螺子細工のような、とも、近未来のロボット的だとも表現できます。
見るたびに何か発見が生まれそうな新鮮な造形です。
購入可能な方々は心踊り、さらに所有欲を駆り立てられることでしょう。
何かに似ている点を、強いていうならレクサス「LFA」のサイドラインに共通項は見出せますが、これは寧ろ、意識した演出なのは間違いありません。
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内装は、いかなる超高級車にも比肩
外観のコストを考えただけでも、1,300万円というプライスタグはかなり頑張っているな、と思いましたが、内装のレベルも併せれば、この「LC」レクサスで一番、リーズナブルな感すらいたします。
無駄がなく、実用性を兼ね備えた上に“超”高品質。
美しさと、実用性の両立は非常に難しいと思います。
それが、いかにも普通のように設計されている妙。
内装のカラーバリエーションが4種しかないのは、まだ発売当初だからでしょう。
今後の特別仕様車用に別のデザインを取ってあるのかも知れません。
このレクサス「LC」の外装、内装の高級感は3,000万円、4,000万円の海外勢の商品に決して引けの取らないどころか、上回っているのは、驚異的だと思います。
ご検討中の方は是非、お近くのディーラーに足を運んでみてください。
意外なドライビングポジション
全高は1,345mmとさほど低くはないとはいえ、こういう商品というのは得てして‘やたらと’低いポジションに座らされるもの。
そんな心配は「LC」の運転席に座れば杞憂に終わるでしょう。
いわゆる一般的な商品、トヨタ「カローラ」や日産「ノート」などのポジションに慣れた方でも違和感なく運転できてしまいます。
視界も「空しか見えないじゃん・・・」というスーパースポーツの光景ではなく、極めて良好です。
それにしても、外観からくる印象よりロングノーズではないような気が・・・と思ったら、ダッシュボードを薄く作ることで運転のし易さを実現しているのだとか。
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「違和感に肩透かし・・・驚愕させられた試乗篇」です。
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「LC500」に試乗してみて
<ENGINE START>ボタンを押せば事もなげに、エンジンが掛かります。
仰々しい儀式など全く不要なのも、レクサス流の‘おもてなし’なのでしょう。
驚いたのがシフトレバーの感覚が「プリウス」に似ているということ。
人差し指と親指で挟んでわずかに負荷を掛けると、“カタッ。カタッ”と軽くDレンジに入ります。
なんだ、この違和感は・・・。
僕は、Jゲートと呼ばれる、しっかり掌で握って“ガチャガチャ・・・ガタッ”とドライブに入れて、その気になるタイプなので、これには肩すかしを喰らいました。
ジャガーのようにダイヤル式も出てきている昨今。
指に絶妙にフィットする何か特別なシフトレバーを開発してくるのかと勝手に想像を膨らませていました。
ただ、考えたら「プリウス」のそれも無駄がなく、慣れると何とも思わなくなっているな、と。
欧州車こそ、とお思いの方が購入者層に多い中、なかなかの冒険です。
これが、これからのトヨタ=レクサスのスタンダードなのかも知れません。
「ドライバーに無駄な力を入れさせて、その気にさせることはしません」
そんな理念すら感じさせます。
ハンドリングもそうです。
「軽っ!」
思わず、声をあげる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もっと、どっしりしたステアリングかと思いきや、本当に軽いのです。
スーパーラグジュアリースポーツにしては・・・という修飾抜きに軽いです。
軽すぎて、最初は少しハンドルが取られる感すらあります。
低速時、荒れた路面上を通過すると、ダイレクトに情報を伝えてきます。
それなりの段差なら、ステアリングを両手で握っていないと「グラッ」ときます。
「グラッ」ときても、車体はグラッとはしないので、要するに気持ちなのですが、例えば「LS」にあるような重厚感は極めて薄いです。
低速時の「LC500」は100点満点ではない、というのが正直なところでした。
高速道路でイメージが激変
ちょっと意外なところにレバーが飛び出しています。
場所でいうと、ウィンカーレバーの上。
スピードメーターの左です。
これを回すと「フオォン!」と唸り声を急に上げるのです。
「ようやく目覚めたよ。なんだよ、早く回せよ」
と、窘められたかのよう。
それほどノーマルモードでは制御されていたのでしょう。
このレバーは<ドライブモードセレクト>。
【Sport S+】
【Sport S】
【Normal】
【Comfort】
【Eco】
【Custom】
”5種+カスタム”が用意されています。
通常仕様では【Comfort】、【Normal】、【Sport S】の三つが主体になるのではないでしょうか。
しかし、これまではノーマル=【Normal】で走っていたのが、【Sport S】に入れた途端、これです。
かなり、積極的にギアを引っ張ってくれるのが分かります。
と、いうか、この「LC500」、底なしの加速力です。
100km/hなど「LC500」にとっては、のんびりと散歩する程度なのでしょう。
実際、300万円クラスの商品の50km/hほどに感じられます。
ホンダ「NSX」だと、アドレナリンが出てしまい、もうちょっと踏んでいこうか、という衝動に駆られるのに「LC500」は多くの方にそんな誘惑は訪れないでしょう。
前方のアスファルトが‘ゆっくり’近づいては、過ぎ去ります。
時間の流れが異なる空間のような、そんな錯覚。
いつの間にか、ステアリングも落ち着いています。
どこまでも、余裕のクルージングです。
高速を下り、また一般道へ。
さきほどのステアリングのことなど、寧ろ、魅力的に感じるほどになっています。
考えたら電動ステアリングであれだけダイレクトに、そして瞬時に情報が手に伝わるなんて神業か?、と。
まるで惚れた異性の所作が何から何まで愛らしくなってくる、という、いわば中毒症状を起こしていたのかも知れません。
サーキット試乗がなかったのは残念でしたが、家を売って「LC500」を購入検討しそうなので、これで良かったのでしょう。
次に用意されていたのは「LC500h」。
新技術マルチステージハイブリッドについては、いまだに謎が多いのですが、何か体感できるのでしょうか?
<マルチステージハイブリッドシステム>については
>>>こちら
下に評価表、価格表・価格表もございます。
よかったらご覧くださいませ。
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○関連記事ご紹介
500とはまた別の高級のあり方
レクサス「LC500h」試乗記は
>>>こちら
サーキットなら、こちらもオススメ。
ホンダ「NSX」 試乗記は
>>>こちら
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫
総合評価 | 非常に良い |
運転楽しい度 | 非常に良い |
後席居住性 | “無”に等しい |
リセール価値 | 非常に良い |
故障のしにくさ | 非常に良い |
部品の安さ | 悪い |
レクサス「LC」税込価格表 |
|
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LC500 | 13,000,000円 |
LC500"L-package" | 13,000,000円 |
LC500"S-package" | 14,000,000円 |
LC500h | 13,500,000円 |
LC500h"L-package" | 13,500,000円 |
LC500h"S-package" | 14,500,000円 |
レクサス「LC500」主要諸元表 |
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---|---|
全長 | 4,770mm |
全幅 | 1,920mm |
全高 | 1,345mm |
ホイールベース | 2,870mm |
最小回転半径 | 5.3-5.4m |
車両重量 | 1.940kg~1,960kg |
乗車定員 | 4名 |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC |
トランスミッション | Direct-Shift-10AT |
総排気量 | 4,968cc |
エンジン最高出力 | 351kW[477PS]/7,100r.p.m |
エンジン最大トルク | 540N.m(55.1kgf-m)/4,800r.p.m |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
JC08モード | 7.8km/L |