「LC500h」1st 2017年-現行

「LC500h」にも試乗

レクサスがプレス向けに試乗させる際、必ず、順番が「LC500」 →「LC500h」でした。
その理由は乗った瞬間に理解できます。

ハイブリッド車は出だしのスムースさに特化していますし、殊「LC500h」に関しては、エンジンもいつ掛かり始めたのかモニターを凝視していなければ気づかないレベル。

第一印象は重要です。

この出だしだけで、「こっちのほうが良い」と結論づけてしまうプレスもあったのではないでしょうか?

たしかに「LC500h」の低速時のスムースさは「LC500」を凌ぎます。
リチウムイオン化された大型バッテリーのパワーは132kW(180PS)。

車格が違うとはいえ、4代目プリウスは53kW(72PS)ということを考えると、その大きさに驚きます。



スポンサーリンク

 

エンジンは、「LC500h」が発売された時点でレクサスハイブリッド車では「GS450h」、「RX450h」にも搭載されている3,500cc V6を、高回転域での最大パワー、最大トルクが出るよう専用チューニングされたものです。

走り出しは、低速に強いモーターが単独で引っ張ります。
その後、エンジンが掛かるのですが、先述した通り、まったく気が付かない仕上がり。

こういう日本の技術は欧州車と比較にならない素晴らしさなのですが、雑誌やインターネットの記事には余り書かれていないのは残念です。

時速30kmあたりからはエンジンとモーターの両立が始まります。
ここまでは、いわゆる普通のハイブリッド車。

印象に残ったのは、21インチのランフラットタイヤを装着しているにも拘わらず、乗り心地が非常にマイルドなこと。

小回りもよく利きますので(最小回転半径5.3~5.4m)、路地や狭い駐車場に入らない限り、さほど苦はなさそうです。

LCの数少ない問題点

しかし、クーペ特有の‘長い’ドアには悩まされることはありそうです。
どうしても乗降の際、大きく開かないといけないので隣の車との間隔は必要になります。

あと、トランク容量が172L(「LC500」は197L)というのは実用的な数値ではありません。
面積に対して、高さが不足しているので、
「薄い・・・」
これでは、ゴルフバッグはおろか、旅行バッグも後部座席に置くしかないです。

ちなみに同じクーペでもレクサス「RC」は374Lも確保されており、ゴルフバッグだと二つは積めます。

ご参考までに書いておくと、「GS」ガソリン556L、「GS」ハイブリッド468L。
いかに「LC」トランクが、小さく薄いかがお分かりかと思います。

このような実用性の犠牲は後部座席にも及びます。
非常に高い質感は前席にも劣りませんが、大人が座れるスペースは用意されていません。

頭上スペースは150cmくらいの小柄な方でもない限り、顔を真上に向けるか、耳を天上に付けるかしなければ、座れないのです。

レッグスペースは‘0’というより、マイナス回答といって差し支えないでしょう。
ドライバーポジションを普通に取られたら、許されたレッグスペースは数cmのみ。
大柄な方が運転するときは正座を強いられます。

正座して、鼻を天井に押し付けなければ収まらない後部座席というところだけは、かつての「SC」と同じです。

まるで冗談みたいな話ですが、本当です。
ここは割り切らなければいけないポイントですが、これで‘4名乗車の商品’として登録できるのは謎です。

 



スポンサーリンク

 

これがマルチステージハイブリッドか?!

この「LC500h」、低速に強いからといって中速~高速に弱いわけでは決してありません。

馬力が落ちた感もなく、トルク不足に悩む必要もなく、ただアクセル開度だけ調整していればドライバーは思いのままの加減速を味わえます。

「あれ?これ、ハイブリッドだよな?」

加速の際、『シューン』というモーター音が耳に届いて、我に返ります。

ハイブリッド車に乗っていることを忘れてしまうほど、高速での‘もたつき’がないのです。
モーターのサポートが得られたと思ったらすぐ切れてエンジン一本頼り、という高速での弱さはハイブリッド車の弱さだと指摘されますが、これがありません。

高回転域でのベストパフォーマンスを狙ったエンジンに加え、モーターのサポートが的確に利き<静粛性+加速性能>は、これまでの、例えば「GS450h」のさらに一つ上のステージにあります。

何よりエンジン回転数と、スピード感が同期しているのが素晴らしいです。

これは<マルチステージハイブリッド>の為せる技であることは間違いありません。

日本の技術というものを、まざまざと見せつけた商品、いや、逸品だと思います。

この「LC500h」を見、運転して「まだまだ欧州車には追いついてない部分があるよね」という人がいたら、色々、分かっていないのか、お金を貰っているのでしょう。

1,350万円~。
無理してでも、ご購入できるなら、幸せ者です。

非常に残念なのは自分が見積書を作る立場だということでしょうか。

次ページは>>>
『「LC500」と「LC500h」どちらが買い?』です。