新型 「NSX」2代目 2017年~ 試乗記 前編

これで興奮できないドライバーは・・・

初代NSXは1990年に誕生、2006年まで製造されるという意外なほど長寿モデルだったわけですが、調子が良かったのはバブル期くらいなもので、評判は良かったものの後半は売れ行きは失速の一方でした。
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若い方はご存知ないでしょうか。日本には1980年後半から1990年までのほんの3年くらい調子に乗っていた時代がありました。「不動産を買えば1ヶ月後には2倍の値になっていた」、「入社祝いに会社から新車がプレゼント」なんていう異常な時期、その崩壊も早かったものです。

初代NSXの売れ行きの低迷は1991年のバブル崩壊は確かに大きな要因でしたが、1990年代に入って“スーパースポーツ”という分野のモデルチェンジが早まったことも関係があります。

フェラーリなんかは確かに“ハズレ”モデル(個人的にはF50)もありましたが、新モデルを発売毎に進化を遂げていた印象です。
ランボルギーニはテクノロジー面での進展は感じられなかったものの、ブランド力で何とか生き長らえていました。
その後、VWグループに買収されて今に至るのは皆さんご存知の通りです。

初代NSXの完成度は高かったとはいえ、新しい商品に目移りする富裕層を満足し続けられなかったのでしょう。マイナーチェンジを施しつつ、タイプRというサーキット走行を前提に開発されたモデルを発売しても一部のユーザーが反応するのみでした。その一部のユーザーこそ本当のNSXのファンだったのですが。
初代NSX、日本国内販売台数は約7300台(アメリカでは約9500台)にて製造終了しました。

そして、初代の製造終了のニュースから10年。
僕たちも歳を取りました。
しかし、事あるごとに2代目NSXの情報を入手しようと躍起になっていたのは何だか子供に戻ったみたいで楽しくなかったですか?

2代目のNSXが試乗の前に実車を見たときの興奮といったら、後で聞いて笑ってしまいました。
「うおー」とか「すげー」しか言っていなかったそうです。

評論家の言葉だけを、信じてはいけない



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乗って、誰もが驚くのは運転しやすいことでしょう。
いわゆるスーパースポーツというと運転席に座ると、独特のストレスを感じるものですが、それがありません。視界が悪ければスーパースポーツだという概念は間違っていたようです。
なぜなら、視界は悪くないくせに、スーパーカーのシートに座っている興奮はありましたから。

こうやって時代は変わりゆくのですが、往々にして最初は批判される運命にあるのがパイオニア<開拓者>です。
それが日本車であれば、なおのこと。
僕を含め、多くのファンはNSXを手にすることはありません。
それだけに、自動車評論家の批判が多いことに、がっかりした方が多かったのではないでしょうか。

・刺激がない
・シャシーがなってない
・アメリカで製造しているからダメ
・デザインに新鮮味がない

批判すれば、それだけ自動車に造詣が深いとでも思っているのでしょうか?
「スーパースポーツを理解しているのは私だ」とでも言いたげに・・・嬉々として批判する記事を書くのはやめていただきたいものです。
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デザインは個人々々の感覚がありますから、恰好悪いと思えば、それまでですが、少なくともこの車はシャシーがなってない、とか、刺激がない車ではないでしょう。
快適に『クワイエット・モード』で走りつづけていたのでなければ。

2代目、新型NSXには

『クワイエット・モード』
『スポーツモード』
『スポーツプラスモード』
『トラックモード』

計、4つの性格をドライバーが選択できるようになっています。正直、市街地走行向けの『クワイエット・モード』でも充分、楽しいです。モーターのみの先進的な走りを体感したいのなら、このモード。
途中、エンジンの始動があっても恐ろしくスムースに掛かります。世界のどこにも、こんなハイブリッドカーはありませんでした。

未来の車を、現在、運転している錯覚が起きるほどです。

軽いハンドルを回しつつ、街中を流しても楽しい車なんて、そうは巡り合えない中、2代目NSXは時速30kmで走っていても笑いが止まらないほど高揚します。

理由は?そう聞かれると困ってしまいますが、ブレーキフィーリングは一つの鍵でしょう。

後編は>>> 「トラックモードを素人が選択すると」です。