「インサイト」3代目/ZE4型/2018年-現行

インサイトは売れるのか?

インサイトの発売日は2018年12月13日。

発売直後から試乗車が入っているケースは少ないのですが、インサイトに関しては各ディーラーに試乗車が入っていたのでホンダは最初の1台はかなり格安で提供したものと思われます。



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先代にあたる2代目「インサイト」は3代目「プリウス」に対抗すべく登場した商品でしたが、今回はまったく想定していない模様。

おおよそですが、プリウスより50万円高額の商品です。

トヨタ「カムリ」ですら初期受注こそ良かったものの、セダン復権とはいえない状況の中、売れ続けていくことができる商品なのでしょうか?

インサイトとカムリの違い

そう。
もともと「プリウス」なんてライバル視していないのです。

逆に「カムリ」よりは30万円以上も安価な設定といえますし、後発ならではの優位性もあります。

その最たるものが先進安全装備。

このインサイトが発売された時点では「カムリ」にはLKASが付いていません。

これは決定的な差です。

ちなみにLKASとは何のことかと申しますと、レーンキープアシストシステム。

一定以上の速度(主に高速道路)で走行しているとき、車線中央を維持してくれます。

対する「カムリ」にはレーンディパーチャーアラートという似たような機能が付いていますが、こちらは緊急用。

車線を逸脱しそうになったときにステアリングを切って戻してくれます。

いわば事故を未然に防ぎますよ、というシステムです。

「インサイト」のものは高速道路走行時、オンにしておけば車線中央を維持しながら走行してくれるシステムです。

もちろん、レーンディパーチャーアラートも付いています。

この違い、高速道路を長距離お乗りになる方ならご理解いただけると思います。

ただし、国交省からの通達により横Gは0.8Gまでの制御に制限するよう、とのことですので、大きなカーブは多少、補佐してやる必要があります。

全車速追従システムと合わせて使えば、表現は悪いですが居眠りしかけていても、高速道路上ではそうそう事故にはならないレベルを2018年発売の商品は提供してきました。

もちろん、この「インサイト」も。

こればかりは街中を10分ほど試乗したくらいでは何も分からないので、今後、ディーラーはどんどん高速道路試乗を取り入れるべきだと思います。

もう一つ、「カムリ」(ただし2018年以前のモデル)との決定的な違いは昼間自転車検知システム、夜間歩行者検知システムの有無。

「カムリ」には昼間歩行者検知システムしか付いていません。

トヨタも最新ホンダセンシングに匹敵するシステム、第2世代トヨタセーフティセンスを持っているのですが、マイナーチェンジでの搭載は2019年以降、順次ということになりそうです。

※2018年内に第2世代トヨタセーフティセンスが搭載された車は「クラウン」「カローラスポーツ」「アルファード」「ヴェルファイア」の4車種です。



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インサイトのi-MMDは他と違う

トヨタのTHS‐Ⅱと違い、ホンダのi-MMDはモーターとエンジンを切り離したり、繋げたりするのが特徴。

低速時はモーターのみで走行、巡行時はモーターとエンジンで、高速時はエンジンを直接クラッチに繋いで、という具合です。

その3パターンを車が判断して切り替えているのですが、特に市街地走行、時速60キロくらいまでの切り替えは全く無音のままこなします。

これは素晴らしいです。

「カムリ」よりもバッテリー容量は15%ほど少ないせいもあり、EV走行自体は「カムリ」に一歩譲りますが、巡行時のモーターとエンジンのバランスは「カムリ」に全く引けを取りません。

次ページは>>> 「カムリに負けているところ」です。

カムリに負けているところ

すみません。

しつこいカムリ比較も、これで最後です。

安いのに何もかも勝っているのかというと、そうでもないです。

・リアの方向指示器がなぜかハロゲン
・後席ヘッドクリアランスが狭い
・内装質感

この3点は「インサイト」発売時点の「カムリ」と比較しても負けています。

シート自体、「カムリ」のほうが肉厚で座り心地が良いので、後席居住性を重視するなら「インサイト」はいまいち、というところでしょうか。

決して悪くはありませんが、居住性では勝てっこないミニバンと比較される運命なら質感だけはもっと高めておく必要があったように思います。



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街中での取り回し

全長4,675mmはともかく、車幅1,820mmは相当広く感じます。

ボンネット先がゆるやかに傾斜していることもあり、幅の広い車が好きではない方には敬遠されそうです。

最小回転半径は5.3m。

Uターン時などに慌てて切り返す必要のない数字ですし、問題ありません。

後方視界はリアガラスが傾斜していることもあり‛良い’というほどでもありませんが、ほどほどに視界は確保されています。

先代の「インサイト」のように死角が多いこともありません。

要するに問題は車幅。

これが全く、苦にならないのであれば静粛性も高いですし、快適な街中走行が実現可能です。

高速道路試乗

「インサイト」はボディ剛性がとても高く低重心。

ホンダの低重心は定評がありますが、やはりこの安定感は疲労軽減につながります。

市街地では持て余し気味の車幅も高速走行ではメリットが目立ちます。

やはり1,800mm以上の車幅というのは何か理屈があるのでしょう。

高速走行は本当に安定しています。

前述した運転支援システムと合わせれば、非常にレベルの高い走行が楽しめます。

残念なことに全体的に質が高いと、逆に物足りない点は目立つもの。

高速走行時はエンジンとクラッチが直結し、いわゆる普通のガソリン車のような走行をするわけですが、1,500ccでは少々、非力です。

馬力やトルクをアップさせるのは難しいでしょうから、マイナーチェンジでは、せめてエンジンの音質を改善してほしいです。

多少、力不足でも回して楽しいエンジンなら「シビック/ハッチバック」のように面白いですから。

ターゲットは不明ながら総合力は高い

「カムリ」のようにスポーティに振るのではなく、ラグジュアリー路線で纏めてきた「インサイト」。

かつてのトヨタ、ホンダ、とは立場が逆のようです。

正直、日本に限ると仮想ターゲットがどこにあるのか分からない商品ですが、車自体はとても良くできています。

最近のホンダ車は故障もとても少ないです。

先進安全装備も付いています。

実燃費は渋滞を含む市街地走行でも20km/Lを超えます。

400万円以内のセダン。

外観に惚れたら、買って損はしない一台だと思います。

〇関連記事ご紹介
第2世代トヨタセーフティセンスの試乗記は
>>>こちら

 

○3代目「インサイト」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

価格対評価 良い
運転楽しい度 普通
後席居住性 普通
リセール価値 悪い
故障のしにくさ 非常に良い
部品の安さ 良い

arukidapon:
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