ローバー=クラシック「MINI=ミニ」1959-2000年 試乗評価



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MINIといえば誰の愛車?


僕が入社したころはまだBMWミニの中古の流通は少なく、ミニといえば、ローバーミニ=クラシックミニでした。
弊社にも在庫があること、多かったです。

乗り心地や、走りの良さを語れる商品ではなかったとはいえ、その希少価値が認められつつある時代だったことも覚えています。
なんといっても、見た目のインパクトは他の追随を許しません。
実車、見たらその小ささに驚くこと請け合いです。

男性目線からも「ちょっと可愛いやつ」と映りますし、
女性受けも、すこぶる良いという珍しいデザインでした。

対抗となり得るフィアットのデザインはどちらかというと女性受けのほうがするようで、実際、女性オーナーも多いので、このミニのデザインのユニセックスぶりは相当にレベルが高かったと言えます。

フィアットは「ルパン三世 カリオストロの城」がなければ、男性オーナー数に影響があったくらいだと思いますが、フィアットのデザインも”ぴたり”と嵌まる映画キャラクターはいつ見返しても感動してしまうほどの名作です。
「いいえ。あなたの心を・・・」の件は忘れないでしょう。
ご覧になっていない方は、是非。
老若男女、楽しめる作品です。
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そして、ミニもまた、映画に登場することの多い車です。
「ミニミニ大作戦」。
車名が映画のタイトルになった車も珍しいのでしょうか?
2003年のリメイクではローバーミニとBMWミニの共演まで果たしています。
しかし、クラシックミニならではの小回りを生かしたカーチェイスが楽しめるのは1969年のオリジナルのほう。
ちなみに原題は「The Italian Job」でした。
邦題のセンスの良さを感じます。

また、有名人ではビートルズのメンバー全員が「ミニ」を所有していたこともあったり、イギリスの女王エリザベス2世が乗っていたり、と話題に事欠かない車でした。

僕にとってのイメージキャラクターは90年代に週刊ジャンプで連載されていた“シティハンター”の冴羽涼でしょうか。
コミックではあれだけのハンサムなのに、ジャッキー・チェンさんが実写版を演じたのには驚いたものです。
たしか相手役は後藤久美子。
女優は普通に美人さんだったのも何だかなあ・・・。

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「故障多発、車としては・・・でも手放したくない車」です。

愛着が芽生える一台

さて、この唯一無二のクラシックミニ。
乗ってみてどうかと申しますと、冒頭に触れた通り、乗り心地うんぬんを語る車ではありません。
多少でも段差を越えると何cmの凹凸があったのかを+αして、腰に伝えてきます。
後部座席の乗り心地の最悪さは特筆もの。
車体は常に右に左、上に下に揺れます。

収まりの良い車という表現があるなら、収まらない車です。

ステアリングは、やけに硬い仕上がり。
異常に寝ているハンドルは、さながらバスを運転しているかのよう。
MT車の場合、クラッチの繋がりが決して良いわけでもありません。
4MTですが、いつもご機嫌に4速まで入ってくれるとも限りません。

エンジントラブルも大多数発生。
エンジンオイルを2,000km毎に替えておられたお客様でも、意味不明なオーバーヒートに見舞われるなんて当然。

オイル漏れは日常。

そもそも、掛からない日があったりします。

ただ、1959年当時のイギリスの自動車はこんなものではないでしょうか?
この時代、故障の少なさでは国産車、ドイツ車だったそうです。
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しかし、このクラシック「ミニ」、1959年から1980年までの商品と考えると、相当にレベルの高い仕事だったことは間違いありません。

このサイズで4名乗車しても、そこそこ走ること自体、すばらしい。

80年代以降は、すでにビンテージカー扱いになりつつあったので、ユーザーも趣味性を相当に伴う購入でしょう。
現在の購入層はなおさらです。

つまり、実用性が求められていた、いわば現役時代においては、あのサイズにして素晴らしい快適性を備えていたと言えます。

同時代を生きたクラシック「ビートル」より乗り心地が良いというお客様もいらっしゃいます。
そのクラシック「ビートル」は街中をゆったり走る車で、ハンドルもゆるゆる。
それでいて乗り心地は悪いというどうしようもない商品でしたが、あの生き物のような愛らしいエンジン音はいつ聞いても、聞いたあと、しばらく幸せなのは僕だけでしょうか?

「ローバー=クラシックミニ」に至っては街で見かけるだけで、少々、気持ちが高ぶってしまいます。

パーツは今なお諸々、購入可能なのも嬉しい。
自分だけの「ミニ」に仕上げる楽しさもまた一興です。
弊社のお客様では軽自動車のエンジンを載せておられる方も。
軽の規格から外れているのは排気量だけですから。

そして、忘れてはいけないのが”ゴーカート・フィール”。
硬いステアリングはその為でしょう。
まさに車を扱っている感覚は、近所に買物に行くだけでも楽しいものです。
車幅の小ささはドライブの楽しさに比例する、そんな法則を当てはめたいくらいです。

ペットのように愛着を持てる車、MINI=ミニ。
状態の良い個体は、当然ながら日を追うごとに少なくなっていきます。

いずれは博物館でしかお目にかかれないと思うと、すれ違っただけで、つい目を細めてしまいます。

ちなみに「ミニ」ブランドをBMWに売却したローバーは2005年、静かにその幕を閉じました。

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以下に貴重な(?)ローバーミニの最終モデル4MTの諸元表、価格をご用意いたしました。

4ATは4MTよりも、10万円高く設定されており、車重20kg増、エンジン出力は2割ダウン、燃費は10.15モードで驚異の5割ダウンの9.7km/Lでした。

実燃費は共にかなり悪く、MTでも10km/L伸びることはないとお考えください。
ATは都内を軽く走ってみたところ7~8km/Lでした。

BMW「ミニ」3ドア・5ドアには
ローバーのオマージュがたくさんある?
試乗記は>>>こちら

○ローバー クラシック「MINI=ミニ」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

総合評価 非常に良い
運転楽しい度 良い
後席居住性 非常に悪い
リセール価値 良い
故障のしにくさ 非常に悪い+
部品の安さ 普通

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ROVER CLASSIC「MINI」4MT 主要諸元表
全長3,075mm
全幅1,530mm
全高1,330mm
ホイールベース2,035mm
最小回転半径4.3m
車両重量740kg
乗車定員4名
エンジン種類水冷直列4気筒
トランスミッション4MT
総排気量1,271cc
エンジン最高出力62kW[46PS]/5,700r.p.m
エンジン最大トルク94.1N.m(9.6kgf-m)/3,900r.p.m
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
10.15 モード14.5km/L
新車時価格2,290,000円

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