ローバー=クラシック「MINI=ミニ」1959-2000年 試乗評価

愛着が芽生える一台

さて、この唯一無二のクラシックミニ。
乗ってみてどうかと申しますと、冒頭に触れた通り、乗り心地うんぬんを語る車ではありません。
多少でも段差を越えると何cmの凹凸があったのかを+αして、腰に伝えてきます。
後部座席の乗り心地の最悪さは特筆もの。
車体は常に右に左、上に下に揺れます。

収まりの良い車という表現があるなら、収まらない車です。

ステアリングは、やけに硬い仕上がり。
異常に寝ているハンドルは、さながらバスを運転しているかのよう。
MT車の場合、クラッチの繋がりが決して良いわけでもありません。
4MTですが、いつもご機嫌に4速まで入ってくれるとも限りません。

エンジントラブルも大多数発生。
エンジンオイルを2,000km毎に替えておられたお客様でも、意味不明なオーバーヒートに見舞われるなんて当然。

オイル漏れは日常。

そもそも、掛からない日があったりします。

ただ、1959年当時のイギリスの自動車はこんなものではないでしょうか?
この時代、故障の少なさでは国産車、ドイツ車だったそうです。
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しかし、このクラシック「ミニ」、1959年から1980年までの商品と考えると、相当にレベルの高い仕事だったことは間違いありません。

このサイズで4名乗車しても、そこそこ走ること自体、すばらしい。

80年代以降は、すでにビンテージカー扱いになりつつあったので、ユーザーも趣味性を相当に伴う購入でしょう。
現在の購入層はなおさらです。

つまり、実用性が求められていた、いわば現役時代においては、あのサイズにして素晴らしい快適性を備えていたと言えます。

同時代を生きたクラシック「ビートル」より乗り心地が良いというお客様もいらっしゃいます。
そのクラシック「ビートル」は街中をゆったり走る車で、ハンドルもゆるゆる。
それでいて乗り心地は悪いというどうしようもない商品でしたが、あの生き物のような愛らしいエンジン音はいつ聞いても、聞いたあと、しばらく幸せなのは僕だけでしょうか?

「ローバー=クラシックミニ」に至っては街で見かけるだけで、少々、気持ちが高ぶってしまいます。

パーツは今なお諸々、購入可能なのも嬉しい。
自分だけの「ミニ」に仕上げる楽しさもまた一興です。
弊社のお客様では軽自動車のエンジンを載せておられる方も。
軽の規格から外れているのは排気量だけですから。

そして、忘れてはいけないのが”ゴーカート・フィール”。
硬いステアリングはその為でしょう。
まさに車を扱っている感覚は、近所に買物に行くだけでも楽しいものです。
車幅の小ささはドライブの楽しさに比例する、そんな法則を当てはめたいくらいです。

ペットのように愛着を持てる車、MINI=ミニ。
状態の良い個体は、当然ながら日を追うごとに少なくなっていきます。

いずれは博物館でしかお目にかかれないと思うと、すれ違っただけで、つい目を細めてしまいます。

ちなみに「ミニ」ブランドをBMWに売却したローバーは2005年、静かにその幕を閉じました。

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以下に貴重な(?)ローバーミニの最終モデル4MTの諸元表、価格をご用意いたしました。

4ATは4MTよりも、10万円高く設定されており、車重20kg増、エンジン出力は2割ダウン、燃費は10.15モードで驚異の5割ダウンの9.7km/Lでした。

実燃費は共にかなり悪く、MTでも10km/L伸びることはないとお考えください。
ATは都内を軽く走ってみたところ7~8km/Lでした。

BMW「ミニ」3ドア・5ドアには
ローバーのオマージュがたくさんある?
試乗記は>>>こちら

○ローバー クラシック「MINI=ミニ」評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

総合評価 非常に良い
運転楽しい度 良い
後席居住性 非常に悪い
リセール価値 良い
故障のしにくさ 非常に悪い+
部品の安さ 普通

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ROVER CLASSIC「MINI」4MT 主要諸元表
全長3,075mm
全幅1,530mm
全高1,330mm
ホイールベース2,035mm
最小回転半径4.3m
車両重量740kg
乗車定員4名
エンジン種類水冷直列4気筒
トランスミッション4MT
総排気量1,271cc
エンジン最高出力62kW[46PS]/5,700r.p.m
エンジン最大トルク94.1N.m(9.6kgf-m)/3,900r.p.m
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
10.15 モード14.5km/L
新車時価格2,290,000円