「アテンザ」20S/25S GJ系 2012年-現行

意外とマニア向け

モデル末期の3代目「アテンザ」。
一時期はウチでも試乗車を用意していたものですが、ついぞお声が掛からず、販売車両として他社のセダンと寿司詰め状態で展示されています。

マツダ車は出だしは好調であることが多くなってきたとはいえ、まだまだ持続力がないなあ、という印象はあります。

ブランド力によるもの、と簡単に片付けられてしまいがちですが、マイナーチェンジ(MC)のやり方が新規開拓につながりにくいから、と僕は考えています。

たとえば、マイナーチェンジで、目立つ新色や彫りの深いデザインを導入していないこと。

目立つ新色は、CMなどに登場させた時の新鮮味が圧倒的に違うからです。

設定のない、ブリリアントブルーの「アテンザ」が街中を走るコマーシャルを流しただけで印象はガラリと変わると思います。
実際に‘売れる色’にはならなくともイエロー「アテンザ」のCMを流せば、ディーラーに出向く方も増えるに違いありません。

少なくとも2012年~の5年間は赤というアイコンを定着させようとしているので、それはできないということでしょうか?

デザイン面では、フロントの中央部に、わずかでも凹凸を持たせると高級感が増してユーザーの目には映るものです。
売れ行きが低迷している中、どうしてやらないのでしょう?

予算の問題?

と、色々、不満を申し上げてみたものの、3代目「アテンザ」のデザイン完成度は極めて高い位置にあるため、これ以上、触れられないのかも知れません。

もう一つ。
購入のタイミングが分かりにくいことを挙げます。

MCの折にはもちろん、そうでない時期にも、<G・ベクタリングコントロール>や最新の衝突軽減ブレーキシステム、レーンキーピングシステムなどを惜しみなく次々に搭載。

それによって、初期オーナー様は、置いていかれるような感覚があると聞いたことがあります。

『自分は現行モデルに乗ってるんだ』という気持ちを得るために新車購入する方も多いでしょう。
その優越感が1年かそこらで失われるのはいかがなものか、と・・・。

たしかに最新システムの搭載は、打倒ライバルの為には必要ではあります。

マツダは世界一の衝突軽減システム、といって過言ではない素晴らしい技術を持っていることは認めます。
しかし、満を持して、というタイミングが、あるような気がします。

『マツダは新車買ったら、納車のときには新しいシステムの発表するから、やめておく』

と、お客様がマツダ車を充分、ご検討した上で他社の商品をご購入することもあったので、今後は熟慮の上、MCして欲しいです。

弊社のような新車も注文可能な中古車屋だからこそ、お客様の本音が聞ける場合があります。
しかし、ディーラーならただ、離れていってしまうだけなのです。

そこを理解した上でマイナーチェンジ、特に新技術の搭載のタイミングを計っていってほしいものです。

ディーゼルより良い点は?

3代目「アテンザ」が発売されたとき、自動車評論家は概ね「ディーゼルも素晴らしいが、ガソリンモデルの滑らかな加速フィール、そして何より静粛性も見逃せない」というスタンスの記事を書いていました。

しかし、実際に乗ってみると随分と様相が違います。

たしかに滑らかな加速という意味ではディーゼルの上をいきますが、静粛性はディーゼルモデルのほうが寧ろ上。

停車時のアイドリング~高回転域まで、静粛性の高さはガソリンモデルには見受けられません。

「25S」で50km/h~70km/h、一般道での巡航速度ですら、かなりエンジン音が車内に入ってきます。

では「20S」ならもっとエンジン回転数が上がるのかというと、そうでもありません。
いわゆる、日常域ならさほど差は感じない出来映えと申し上げてよいのではないでしょうか?

違いは、やはり登板時や高速巡航時。
エンジン回転数は「25S」より10%ほどあがる印象です。

ただ、エンジン音に雑味は少ないので、このエンジン音がお好きな方は敢えて「20S」をお買い求めになるのも面白いでしょう。

そもそも、ライバルとされるスバル「レガシィ」や、トヨタ「カムリ」 「マークX」、あたりはもちろん、「アテンザ XD」ともコンセプトが違うようです。

「20S」「25S」に共通するのは、すばらしく‘よく回るエンジン’を搭載していることです。
これは、マツダのガソリンエンジンに対する理念の表われでしょう。

踏み出してから1000回転くらいまでは往々にして回転数に速度が付いていかないものですが、これらのエンジンは時速0km/hからの調律が‘きめ’細やか。
数十メートル、人が散歩するような距離でも車を操っている感覚が味わえるのが凄いです。

それだけにディーゼルモデルと同様、6MTの選択肢を入れて欲しかったな、というのが正直なところです。

次ページは>>>
「ステアリングは、落ち着いたセッティング?」です。



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キレッキレのステアリングではない

誤解のないよう申し上げますが、ステアリングは正確です。
幅1,840mmもあれば、多少とも鈍い挙動が出そうなものですが、まったくといって良いほど出ません。
ただし、わずかな動きにも反応する初代「アテンザ」の超敏感ステアリングとはまた別のもの。

2代目のアンダーステア気味の設定を研ぎに研ぎすました、と申し上げたらよろしいでしょうか。

いわゆる、サルーンのそれです。

つまり、エンジンの特性とは逆のセッティングと感じた次第です。

以上、エンジンとステアリングの性格が一致していない印象を受けた「20S」「25S」、2種のご紹介でした。

隠れ異端グレードとも言える商品ですが、ご趣味に嵌まったら、これ以外はないでしょう。

 

ディーゼル車の指標。
「XD」については
>>>こちら

 

文中でもご紹介した「初代」。
まさにキレッキレの
中毒ステアリングについては
>>>こちら

 

ライバル車「マークX」も
MCで強力な競争力を得ました。
その詳細は
>>>こちら

 

○3代目「アテンザ」ガソリンモデル 20S/25S 評価表○
≪非常に良い・良い・普通・悪い・非常に悪いの5段階で評価しています≫

総合評価 人による
運転楽しい度 良い
後席居住性 良い
リセール価値 普通
故障のしにくさ 非常に良い
部品の安さ 良い

3代目「アテンザ」価格表(税込)
20S(2,000cc ガソリン)2,797,200円
20S PROACTIVE2,878,200円
25S L Package(2,500ccガソリン)3,364,200円
XD(2,200cc ディーゼル)3,207,600円
XD 6MT3,261,600円
XD(4WD)3,434,400円
XD(4WD)6MT3,488,400円
XD PROACTIVE3,288,600円
XD PROACTIVE 6MT3,342,600円
XD PROACTIVE(4WD)3,515,400円
XD PROACTIVE(4WD)6MT3,569,400円
XD L Package3,774,600円
XD L Package(4WD)4,001,400円

セダン 20S・25S ガソリンモデル主要諸元表
全長4,865mm
全幅1,840mm
全高1,450mm
ホイールベース2,830mm
エンジン種類(ガソリン)水冷直列4気筒DOHC
トランスミッション6AT or 6MT
総排気量1,997cc(20S)・2,488cc(25S)
エンジン最高出力114kW[155PS]/6,000r.p.m(20S)
138kW
[188PS]/5,700r.p.m(25S)
エンジン最大トルク196N.m(20.0kgf-m)/4,000r.p.m(20S)
250N.m(25.5kgf-m)/3,250r.p.m(25S)
車両重量1,440kg(20S)・1,470kg(25S)
乗車定員5名
最小回転半径5.6m
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
JC08モード17.4km/L(20S)・16.0km/L(25S)

セダン XD ディーゼルモデル主要諸元表
全長4,865mm
全幅1,840mm
全高1,450mm
ホイールベース2,830mm
エンジン種類(ガソリン)水冷直列4気筒DOHC直噴ターボ
トランスミッション6AT or 6MT
総排気量2,188cc
エンジン最高出力129kW[175PS]/4,500r.p.m
エンジン最大トルク420N.m(42,8kgf-m)/2,000r.p.m
車両重量1,510kg~1,530kg(2WD)
乗車定員5名
最小回転半径5.6m
使用燃料軽油
JC08モード20.0km/L~22.4km/L (2WD)


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