2009年の戦い。「インサイト」と「プリウス」

自動車史名勝負 「インサイト」と「プリウス」

惜しくも、というか、やっぱり、早期製造終了に追いやられた2代目インサイト。

2009年2月に発売されたのは今や昔、あの頃はトヨタのプリウスを本気で駆逐してやろうという意気込みが感じられたものでしたが、2014年3月にひっそり引退(製造終了)。

「トヨタに負けちゃったなあ」感が強い車種は、よくありますが、近年では印象に残る敗北でした。

 

当初、1,890,000円~という2,000,000円を大幅に切るプライスタグを掲げ、数ヶ月後に発売されるであろう3代目プリウスをけん制しました。
これが成功し、ハイブリッドでは初となる月販台数1位を記録。
3代目プリウスはおそらく2,500,000円~という市場の予測もあり、その勢いはしばらく続くかに思われました。

しかし、3ヵ月後に発売された3代目プリウスに、あっさり敗北。
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“あっさり”と表現していいでしょう。盛り返すことなく、マイナーチェンジされても特に注目されるなく去っていきます。
ちなみに3代目プリウスは2,050,000円~で登場しました。これにはホンダも驚いたでしょう。
ブランド力で劣るインサイトが消えゆくのは、この時、決まっていたのかも知れません。
さらにトヨタは2代目プリウスをラインアップに残し、これに1,890,000円というインサイトと同じプライスタグを掲げたものですから、一部では「プリウスも189万円で買えちゃうんだって」という声が巷で囁かれ、これが広まっていくわけです。
2代目+10万円そこそこで新型に手が届きそうな設定も魅力的でした。

市場に残ってこそ

実際、3代目プリウスのエントリーグレートはサスペンションすら廉価版の酷いものだったと言わざるを得ません。期待してディーラーを訪れたお客様はグレードを見直し、オプションを付けて、あれよあれよという間に結局、乗り出し価格3,000,000円程度を支払うことになったのです。

”トヨタプリウス”というブランド力を使った力わざでの勝利でした。

それにしても、上級モデルと内装や快適装備が違うのは仕方ないにしても、露骨に乗り心地が違うのは、いかがなものでしょうか?
高級車でもコイルサス(バネサス)とエアサスが設定されている場合はありますが、この場合「もっと乗り心地がいいのを欲しい方はエアサスをどうぞ」という設定だと思うんです。
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3代目プリウスの場合、おそらく上級グレードが本来、エントリーグレードで発売しようと思っていたモデルではないかと思われます。それくらいエントリーグレードは良くないんです。実際、下取りとして入ってくるグレードはほとんどが中以上のグレード。たまに商用車として使われた個体があるくらいです。みなさん、分かってらっしゃるんですね。

では、上級グレードが素晴らしいのかというと、正直、2代目の存在が素晴らしすぎて余り、進化が実感できませんでした。2代目、3代目と続けて乗ると確かに乗り心地は良くなっているし、遮音性も高くなっているし、ハンドリングも少しリニアになっているような気がします。でも、あくまで立て続けに乗ったときの話。経年に弱いといわれる電池を積んでいるため、中古でお探しなら3代目以降をオススメせざるを得ないのは心苦しいかぎりです。
ハイブリッド車を世に広めた2代目、そろそろ見納めの時間なのでしょうか。

次ページは>>>「類似したデザイン」です。

第一印象は、みんな「プリウスに似ているよね」

いつからかハイブリッド車だからといって、乗り心地を犠牲にしてもいいと思う方はいらっしゃらなくなりました。
しかし、かつては「燃費がいいぶん、乗り心地悪いのは仕方ないかな」と皆さん思ってらっしゃったものです。~3代目プリウスはまさにそう。3代目が発売された当初は自動車評論家はこぞって乗り心地の進化を謳いましたが、同価格のガソリン車と比較できるレベルに全く追いついていなかったことは間違いありません。

3ナンバーのプリウスですらそうなのに、5ナンバーのインサイトなんて“おもちゃ”みたいなものじゃないの?と、お思いのあなた。騙されたと思って、乗ってみてください!と言いたいですが、売ってないし、もう新車試乗はできないですよね・・・。中古車屋さんで試乗OKのところもあるので、気になる方は一度、試乗なさってみてください。ボディ剛性は非常に高いわけではないですが、素直なハンドルと、しっとりした乗り味は普通の乗用車のそれです。
何しろ負け犬ですから中古車価格は下がる一方です。
でも、車としては素晴らしい。

なぜ、もっと、いい売り方ができなかったものか・・・。
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ハイブリッドシステムの特許の関係で、ホンダのIMAというハイブリッドシステムは簡易的なものでした。実はインサイト、走行中にエンジンが止まることがありません。
そこをトヨタの営業マンに突かれたのは痛かったと聞きます。
「ウチのはモーターだけで結構、走るんですよ」、と。
「カタログ燃費もいいでしょう?ブランド力だって・・・リセールが全然違いますよ」
そう言われたら、迷っている方は皆、プリウスを契約したでしょう。

あと、インサイトのデザイン。
いくら空力を考えたらこうなりました、って言われても、プリウスを真似したみたいなデザインはやめてほしかった・・・。
意地でもホンダオリジナルのデザインが出来なかったのかなあ、と今更ながら忸怩たる思いです。

ハイブリッドでも乗り心地を犠牲にしないホンダの革命児、2代目インサイト。
手段を選ばず、しかし、それに圧勝した3代目プリウス。
王者トヨタに果敢に挑んだホンダ『インサイト』の戦い、もう懐かしい時代になりつつあります。

2代目インサイト主要諸元表
全長4,390mm
全幅1,695mm
全高1,425mm
エンジン種類水冷直列4気筒横置
総排気量1,339cc
エンジン最高出力65kW[88PS]/5,800r.p.m
モーター最高出力10kW[14PS]/1,500r.p.m
車両重量1,190kg
乗車定員5名
最小回転半径5.0m
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
JC08モード27.2km/L


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3代目プリウス主要諸元表
全長4,480mm
全幅1,745mm
全高1,490mm
エンジン種類水冷直列4気筒DOHC
総排気量1,797cc
エンジン最高出力73kW[99PS]/5,200r.p.m
モーター最高出力60kW[82PS]/???r.p.m
車両重量1,585kg~1,675kg
乗車定員5名
最小回転半径5.2m~5.5m
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
JC08モード30.4km~32.6km/L
arukidapon:
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